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暮らしに必要不可欠な「照明」

照明。それはインテリアアイテムの中でも大事な機能を担っているエレメントである。室内に明かりがなければ我々の生活はとても不自由で不便なものだ。こと住宅においては、賃貸住宅であれば予めシーリングライトやダウンライトが設置されている場合が多く、新築に至っては照明計画なしに建築計画は成り立たず、その存在は欠かせない。

しかし、必要不可欠であるからこそ、機能や性能を重視するばかりで、照明が“楽しめる”インテリアエレメントであることを見落としがちではないだろうか。電球の交換はしても、照明器具を買い替えてみたり、買い足してみたりする機会がない、そもそも検討もしないというエンドユーザーは少なくないだろう。

今回は、照明ブランドである3社に取材を行い、昨今の市場動向や照明の魅せ方についてヒアリングした。照明は前提として機能性が強く求められるアイテムであるため、使用場所や位置の提案、用途を把握するなどと売り手にも少なからず知識が必要だ。

裏を返せば、その知識があれば提案の厚みが増し照明単体の販売促進だけではなく、空間としての総合的なモノの提案につながるのではないだろうか。「日本の住空間で好まれる リビングダイニング照明」でも触れたように、LEDなど技術の発展や生活スタイルの変化によってさらに深化している照明。本記事から、エンドユーザーへ照明を提案する際に活かせるノウハウやヒントを得てほしい。

生活リズムを整える照明使い

「サーカディアンリズム (概日リズム) 」という言葉を知っているだろうか。これは人間に備わっている生体リズムのことで、我々は24時間周期の昼夜変化に同調して、体温や血圧、ホルモン分泌など体内環境を変化させている。

他方、「体内時計」という言葉は耳にしたことがあるのではないか。これは光や温度変化のない条件下でもこのサーカディアンリズムが確認されることから、生物は体内に時計機構を持っていると明らかになっているのだ。

ただ、人の体内時計の周期は24時間と若干のズレがある。このズレを調整してくれるのが光、目から入ってくる明暗環境の情報である。

国内外幅広く照明プロダクトを展開している「株式会社DI CLASSE (ディクラッセ)」は、そうした自然のリズムにできるだけ近い環境を計画することで、毎日の生活リズムが整い健康的な日常を送れるとして、より良い暮らしの提案をしている。

例えば、日中は高い位置から昼光色 (白い光) を照らし、夕方は低い位置に温かみのある電球色のスタンドライトを置くなどして、太陽光の明かりのリズムに合わせて、使用する照明器具や電色を変えるのがおすすめだという。

こうした“多灯使い”による提案は時間帯によって使用する照明が異なるため、商品を展示する際は、「電気を付けているときと消しているときの表情の違い」もわかりやすくしておくといい。店頭とオンライン、どちらからでも両者が確認できる状態が親切であろう。

トレンドとなる住環境を把握する

昔から建築と家具は密接に関わって発展を遂げてきた。これは、照明器具にも同じことがいえる。機能的でデザイン的、空間にマッチした照明を探しているのは、そこに住むエンドユーザーだけではなく、設計士やインテリアコーディネーターという住環境の作り手も含まれている。

今年リリースされたばかりの新ブランド「AMPERSAND FACTORY (アンパサンドファクトリー)」の展開するアイテムは、そうした“作り手”側からの需要を実感しているという。

現行の住宅設計とトータルコーディネートしやすいデザインが好評だというそのアイテムは、インダストリアルな雰囲気のあるデザインテイスト。これは住空間のトレンドを把握することが、現代に求められる照明デザインを掴むヒントになることを示している例だろう。

例えば、今後は世界でもトレンドとなっているJAPANDIのスタイルにマッチするような照明デザインなど、ブランドとショップが互いにこれからトレンドとなる住空間に理解を深めることがユーザーに求められるプロダクトの製造、選定へとつながるのではないか。

また実店舗においては、セレクトショップならではの展示工夫を施したいところだ。無造作に陳列するだけでなく、ダイニングやリビング、寝室など、空間やシーンを感じられるような売場が効果を上げるだろう。そうした売場には、セレクトショップごとのカラーが現れ、提案内容によっては商品の見方を変える大きな要素となるはずだ。

照明をコーディネートする楽しさを伝える

照明器具というと、一度購入したのち買い替えのタイミングがわからないというエンドユーザーも多いであろう。照明器具については、電球のようにわかりやすく交換時期=寿命が見えないため、定期的な点検が必要だ。ただ、必ずしも故障や寿命をきっかけとした買い替えである必要はないのではないか。

照明器具もインテリアの一つとして、例えばクッションカバーやテーブルクロスのように季節やシチュエーションに合わせて気軽にコーディネートを楽しめるアイテムであってもいいはずだ。

「株式会社アクシス」が提案する照明はカスタマイズできる点が特徴。部屋の雰囲気や用途に合わせてシェードや灯具の素材や形状、電球を好みの組み合わせでセレクトして楽しめる。

店頭でのディスプレイも従来のアイテムのように吊ったり立てたりするのではなく、器を並べるかのようにシェードなどのパーツを平置きで陳列できる点もユーザーへ新鮮さを与えることができる。

そこで把握しておきたいのは、それぞれのパーツを選定する基準となる知識だ。玄関、リビング、ダイニング、キッチンやトイレなど、それぞれの空間に合う照明の選び方を念頭にサポートすることで接客の説得力が増すはずだ。

キッチンには同じ素材のものを並べるとスッキリ見え空間にまとまりがでる

照明器具を自分でコーディネートできることの楽しさを伝えることで、そこから波及し他の空間の照明や同様の空間の別アイテムの購入を促すことも可能となるであろう。

照明を“楽しむ“魅力を提案する

店頭で照明を展示し販売する場合、課題となるのは「照明を検討しているユーザー」以外の目にも留まるような売場作りができるかどうかであろう。他の家具や雑貨と比較して、照明は什器や店内装飾に紛れやすく商品として目に留まりにくい一方で、そのボリュームを活かして店頭に設置することで店舗全体の印象を華やかにする役割を持つ商品でもある。

カタログやパンフレットの写真だけではなく、店舗での空間作りでも照明の役割をしっかり活かし説明することができれば、照明器具の購買に繋がるきっかけを与えることができるだろう。

セレクトショップに訪れる大半のエンドユーザーは、すでに必要最低限の明かりがある中で来店しているはずだ。「今あるモノで十分」と思っているユーザーに対して、照明を変えること、増やすことが空間や暮らしに楽しい変化をもたらすことを伝えてみてはいかがだろう。

掲載企業紹介

株式会社DI CLASSE (ディクラッセ)

「光が生み出す癒しの影をデザインする」をコンセプトに、照明をメインとした心地よい暮らしを提案する。モノづくりの歴史がある東京東エリアを拠点に企画、デザイン、製造、販売まで一貫して行い、国内のインテリアショップの他、パリ、ロンドン、など約12カ国で製品を展開する。

取り扱いアイテム:照明器具、インテリア雑貨

公式ホームページはこちら
https://www.di-classe.com/index.html


AMPERSAND FACTORY (アンパサンドファクトリー)

アンパサンド (ampersand,&) とは「…と…」を示す「つながり」を生み出す記号。モノ (製品)・事 (ライフスタイル)・人 (使い手や売り手、作り手) それらに存在する様々な「つながり」を見つめ直し、新たな価値を生み出すブランドとして誕生。

取り扱いアイテム:照明器具、時計、雑貨

公式ホームページはこちら
https://ampersand-factory.com/


株式会社AXCIS (アクシス)

岡山県岡山市にあるインテリアメーカー。4つのオリジナルブランドを展開する。朝の始まりにお湯を沸かしコーヒーをドリップするような、日々の暮らしの中で手をかけ丁寧に過ごす何気ない豊かな時間。そんな「ひと手間とその先。」をコンセプトに、ひと手間かけて作られたモノや暮らしを提案。

取り扱いアイテム:照明、灯具、スイッチ、ハウスパーツ、雑貨・家具など

公式ホームページはこちら
http://axcis-inc.com/

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