2023.04.11.tue

KANADEMONO BASEが広げるパーソナライズ家具の可能性

  • KANADEMONO

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体験型ショールーム「KANADEMONO BASE」

Kanademonoが迎えた新たなフェーズ」で「0から1を作るフェーズを終え、1を100にするフェーズへと移行している段階」だと語った「KANADEMONO (カナデモノ)」。そのアクションの一つが予約制のショールーム「KANADEMONO BASE (カナデモノ ベース)」である。

インテリア業界のDtoCビジネスを牽引している同ECショップは、ショールームを構えることによりDtoCのネックともいえる“体験”と“安心感”の提供が叶うこととなり、さらなる飛躍が望めそうだ。オープンから1年以上が経過し、新スタイル「Nekodamono (ネコダモノ)」がリリースされた今日のタイミングで本ショールームを訪れた。

KANADEMONO BASEがあるのは東京都渋谷区、小田急線「代々木八幡駅」北口を出てすぐの場所。窓ガラスには同ショップが展開する五つのスタイルのモチーフが描かれている。

この場所で取材に応えてくれたのは、株式会社bydesign (バイデザイン) のコンテンツ / マーケティングチームのジェネラルマネージャーを務める松本好司 (マツモト コウジ) 氏。同ショールームのディレクションのみならず、マーケティングからECサイトのコンテンツディレクションまで幅広く担っている。そんな同氏がこの職に就いたのは1年前。前職はWEB広告の代理店としてKANADEMONOの運用に携わっており、そのなかで同社の可能性に魅せられ入社を決めたのだとか。

まだまだ“可能性”を秘めるKANADEMONO。今回はこのショールームを舞台に、今注力している取り組みや商品について、また今後の展望を伺った。

KANADEMONO (カナデモノ)
https://kanademono.design/
株式会社bydesignが運営するインテリアECショップ。サイズオーダーできるテーブルを中心に、金物と木材の調和 (ハーモニー) から生まれたミニマルでニュートラルな家具が特徴。「Kanademono」、「Gemone (ジモーネ)」、「Favrica (ファブリカ)」、「Wabika (ワビカ)」そして「Nekodamono (ネコダモノ)」といった個性ある五つのスタイルを展開し、ライフスタイルを提案している。

カスタマイズを確かめられる場所

KANADEMONO BASEについて教えてください

− 松本氏コメント:KANADEMONO BASEは、KANADEMONOの商品を実際に見ることができる場所で、一番人気のテーブルからソファやチェア、照明、セレクト商品まで、幅広い商品を一度にご覧いただけます。役割としては体験型ショールームなので購入はできません。オープンから現在までは完全予約制としていて、ホームページから事前に予約をいただき、1枠45分でご案内しています。

特徴は、我々の主力プロダクトでもある、サイズオーダーができる天板と鉄脚のテーブル「THE TABLE (ザ テーブル)」の組み合わせを目の前で体験できることです。ここでは展開している全ての天板と鉄脚を取り揃えていて、自由に組み合わせを試していただくことができます。

THE TABLEの組み合わせは約2400通りを超える (2023年3月時点)

− 松本氏コメント:ほとんどのお客さまが、このテーブルの組み合わせや素材感の確認のために来店されますね。メイン商品を選んでもらうための場所ですので、売場はそのための設計、世界観になっています。実は、このショールームができる前から「実際に商品を見られる場所がほしい」というお声をユーザーの方からいただいていたんです。こうしてそのニーズに応えられる場所をつくれたことは、ショップにとって大きく貢献できたと感じていますね。

また、ショールームの機能として、最新仕様の商品を用意しているため、チェアやソファなどの座り心地の確認はもちろん、モデルチェンジが多い商品をご覧いただけるのも特徴です。

単管パイプが印象的なインダストリアルな店内

主力商品に次ぐサイズオーダー商品の拡充

おすすめ商品を教えてください

− 松本氏コメント:まず一つは、「THE SHELF (ザ シェルフ)」と「THE TV BOARD (ザ テレビボード)」のカスタマイズバリエーションが増えました。THE TABLEのバリエーションに対して、他のプロダクトのカスタマイズが追いつけていなかったので、テーブルと揃えて他の商品の購入を検討されている方や、リピーターの方に向けて商品を拡充しています。

次におすすめしたいのは、新商品の「THE BENCH (ザ ベンチ)」と新スタイル「Nekodamono (ネコダモノ)」のプロダクトです。

ベンチはテーブルと合わせてコーディネートしやすいアイテムなので、セットで購入していただくことも想定しています。こちらも他のプロダクト同様サイズオーダーに対応していて、座面の幅を1cm間隔で指定することが可能です。ベンチとしてはもちろん、飾り棚としてなど用途や使用シーンに合わせた最適なサイズでオーダーしていただけます。

新たに発売された「THE BENCH (ザ ベンチ)」

− 松本氏コメント:Nekodamonoからは、「猫との暮らしを彩るインテリア」として、ネコ穴付きのローテーブル「THE LOW TABLE (ザ ロー テーブル)」をリリースしました。Kanademonoで人気のローテーブルにφ18cmの穴をあけ、猫が顔を出したり、通り抜けたりすることができます。Nekodamonoでは猫のためのプロダクトであることと同時に、一緒に住む人も好んで使えるものであるということを大切にしているんです。

サイズオーダーはもちろん、空間に馴染むデザインや心地のよい素材感が特長
広く使いたいときには穴を塞ぐことも可能

− 松本氏コメント:ご紹介した商品はKANADEMONO BASEでご覧いただくことが可能ですので、ぜひ予約して実物を見にいらしていただきたいです。

縦割り体制を終え、横断型の組織を目指す

運営上GMとして注力していることはありますか?

− 松本氏コメント:お客さまに最適なアウトプットができるように、各部署が横串的に連携を図れるようにしたいです。僕はマーケティングからECサイトのコンテンツ、そしてKANADEMONO BASEと、複数の部署を横断して見ているのですが、これまでは少数精鋭で各々が各自のやるべきことに対して自走していました。これからはその点と点を結んでチーム連携することが、組織として次の段階に進むうえでの大きな強みになるのではないかと考えています。

例えば、当社にはお客さまからのお問い合わせに対応する部署としてCXチームを設けているのですが、ここはDtoCビジネスをする我々にとってお客さまと直接コミュニケーションが取れる唯一のタッチポイントであり、とても重要です。KANADEMONOは提供しているプロダクトの自由度が高いということもあり、お客さまからの質問やご相談も多く、CXには「よくある質問」やそれに対する適切な対応、接客ノウハウが蓄積しています。

− 松本氏コメント:そんななかでKANADEMONO BASEがオープンし、CXに次いでこちらでもお客さまと接する機会が生まれました。しかし、オープン当初は縦割りの組織体制で、CXとKANADEMONO BASE、それぞれがそれぞれのオペレーションを持っている状況だったんです。でも我々にとってECサイトもショールームも“現場”であって、そのノウハウはどちらにも活かせますよね。各部署の状況を把握して、横断して情報連携するように促すのが今の僕の役割だと思っています。

このことはCXとショールームに限らず、MDやデザイン、セレクトを行う部署、どこにでも通ずることなので、KANADEMONOの持つマスターデータを一つにまとめていき、部署内でできないことは他の部署と横断的に協力して取り組める組織体制を作っていきたいですね。

主力商品に次ぐサイズオーダー商品の拡充

今後の展望を教えてください

− 松本氏コメント:KANADEMONO BASEについては、確認作業で終わるショールームにはしたくないと思っています。お客さまに「楽しかった」と思って帰っていただける体験を提供したいです。そのために進化できることはまだまだあると思っているので、これから控えているプロジェクト一つひとつを着実にローンチしていきたいですね。

モノづくりにおいても、日本のコンパクトで特殊な間取りにフィットするようなプロダクトの開発を続けたいです。その解決策の一つが、どのプロダクトにも一貫してあるサイズオーダーのシステムですが、そこにはまだまだ課題もあります。

テーブルやベンチは構造上カスタマイズが比較的簡単ですが、ソファや椅子となるとそうはいきません。パーソナライズの前線で走ってきた会社として、これら未開拓のプロダクトへ挑戦することでサイズオーダー商材の幅を増やしていくことは大きな課題でもあり、楽しみでもあります。

ゆくゆくは「家具のパーソナライズ化」を当たり前の世の中に、さらには「パーソナライズといえばKANADEMONO」と思ってもらえるようなショップに成長していきたいです。組み合わせる楽しさや置きたい場所にぴったりフィットする気持ちよさをもっとたくさんの人に知ってもらい、「家具はサイズオーダーするもの」というマインドをお客さまのデフォルトにしていきたいですね。

インタビューにお答えいただき、ありがとうございました。

DtoCを補うショールームの役割

ショールームに足を踏み入れると、そこは一般に見るインテリアショップやショールームとは一風変わった雰囲気を感じ取ることができた。テーブルを組み立てる広々としたスペースと、ずらりと並んだ天板や木材。「これから自分だけの家具が作られるんだ」というワクワク感が、そこにはある。

モニターの前でクリックすれば簡単にイメージチェンジできるサービスは便利で楽しく、情報で溢れるネット社会で過ごす忙しい現代人にはあるに越したことはない。しかし、そのプロセスを経たうえで、さらにこのショールームで実際のモノを見て触れる体験をすることで、より一層モノへの愛着とストーリーが生まれるような気がした。

あくまでもDtoCというビジネスモデルを崩すことなく、“ショールーム出店”という形で消費者の不安解消、購買促進を図る同社の戦略には今後の期待もますます膨らむ。これからのプロジェクトにも追っていきたい。

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