2023.05.16.tue

“内面の美”をデザインするビューティーアイテム

  • UN CALLINER ZEEP (アンカリナーゼープ)

Contents

人々のニクセンに寄り添うブランド

「ニクセン (Niksen)」という言葉をご存知だろうか。ニクセンとは、オランダ語で「あえて何もしないこと」を指す。仕事や家事などの予定を隅へおいて、ぼーっと過ごしたり、気の向くままに散歩をしたり、目的を持たない時間を作ることだ。

オランダは世界的にみてもワーク・ライフ・バランスが上位の国として有名で、国民は生活のなかにニクセンを取り入れ、この忙しない現代社会におけるストレスをリセットしているのだとか。

他にも、瞑想などの「マインドフルネス」や、デンマークの「ヒュッゲ (Hygge)=居心地の良い空間や小さなことに満足を感じること」などは聞き慣れた言葉ではないだろうか。いま人々は、自分自身やそのライフスタイルと向き合い、心地よさを求める傾向にある。

そんな現代人のストレスリセットのシーン、ニクセンに寄り添う美容・ライフスタイルブランドが昨年秋にローンチした。名は「UN CALLINER ZEEP (アンカリナーゼープ)」。オランダ・アムステルダム発の同ブランドは、「地球・環境・未来をリスペクトし、ライフスタイルをデザインする」をテーマに掲げ、独自の技術でプロダクト開発を行い、DtoCで消費者へと商品を届けている。なお、それらはすべて日本生産だ。

今回、取材を行ったのは、UN CALLINER ZEEPでブランドディレクターを務める西岡智樹 (ニシオカ トモキ) 氏。ローンチ間もない同ブランドの誕生のきっかけと、ゴールに掲げる未来を伺った。

UN CALLINER ZEEP (アンカリナーゼープ)
https://www.uncallinerzeep.com/
オランダ・アムステルダム発の美容・ライフスタイルブランド。独自の技術で商品を開発し、地球・未来・スタイルの”antwoord=答え”を提唱する。研究データや確認作業、エビデンスを明確にし、安心・安全・サプライズを届けている。

オランダ・アムステルダム発の「UN CALLINER ZEEP」

ブランド誕生のきっかけは?

− 西岡氏コメント:ブランドを展開しているアパレル専門商社・株式会社スタンレーインターナショナルの事務所がオランダにあり、オランダのライフスタイルやカルチャーを身近に知れる環境だったことが大きなきっかけでしょうか。

基盤として、開発、デザイン、販売などブランド構成に必要な要素や背景を既に持ち合わせていたこと、それから“オランダ発”のブランドにポテンシャルを感じていました。

オランダは多様性があり、さまざまな文化が入り組んでいて、かつそれらに対して寛容で成熟した国家なんです。「地球・環境・未来をリスペクトし、ライフスタイルをデザインする」というテーマを掲げ、ブランド展開することを考えたとき、オランダという国がその価値観と非常にマッチすると確信し、具体的な開発がスタートしました。

あくまでも企画はオランダ、そして製造は同国でも人気のある日本、MADE IN JAPANです。日本製は丁寧に作られていてモノが良い、そして清潔だという印象がヨーロッパにも強くありますね。

三つのカテゴリーと商品

商品について教えてください

− 西岡氏コメント:UN CALLINER ZEEPでは、開発した原料や技術ベースでプロダクトのリリースを行っているので、定番商品という概念がなく、カテゴリー毎に商品展開をし、新商品や新カテゴリーをリリースしているんです。

2023年4月現在で、カテゴリー1の「NANO DIAMOND (ナノダイヤモンド)」、カテゴリー2の「MARULA OIL (マルラ オイル)」、そしてカテゴリー3「TURIP (チューリップ)」の3つのカテゴリーから商品を展開しています。

人気商品は?

− 西岡氏コメント:カテゴリー1の「UC NANO DIAMOND HAND CREAM (UC ナノダイヤモンド ハンドクリーム)」は人気がありますね。その名のとおり、ナノダイヤモンド配合のハンドクリームで、男女問わず使いやすいアイテムとなっています。初めての方でも手に取りやすい価格帯ですし、ギフトにも選びやすいですよ。

ナノダイヤモンドとは、世界最小の機能性ダイヤモンドのことで、1mmの100万分の3の大きさのナノマテリアルです。一粒一粒が不凍水という凍らない水を持っているので、ハンドクリームに活かせば、肌の乾燥を抑え、うるおいを長く持続します。皮膚表面の残留物 (角質など) を取り除きながら、保湿効果や抗菌効果が期待できるという優れものなんですよ。

インテリアとして成立する美容アイテム

各商品に共通する特徴はあるのでしょうか?

− 西岡氏コメント:モノがいいというのは大前提としてあるのですが、「インテリアとして成立するかどうか」まで考えてプロダクト開発をしているのが特徴です。UN CALLINER ZEEPは、オランダにある「ニクセン」という過ごし方に寄り添うブランドでありたいと思っています。そのため何もせずリラックスするシーンにあっても、違和感なく成立するプロダクトであることが重要なんです。

例えば、フレグランスであれば玄関や洗面台に、スキンケアであればバスルームやベッドルームに置かれることが多いと思いますが、隠したりしまったりするのではなく、それがあることで気持ちが落ち着いたり気分が上がったりするモノ、常に出しておきたくなるモノを作っています。

オレンジラインがブランドのテーマカラー

美容アイテムにインテリア要素が加わるんですね

− 西岡氏コメント:そのためには、ブランドの世界観を世のなかに伝えていくブランディングが欠かせません。世界観を非常に大事にしているので、ブランドディレクターとしては「ちゃんとブランディングできているか」ということを常に意識して動いています。

会社、そこで働く個人、そして商品それぞれから、言葉で説明するのではなく、イメージや直感で世界観が共有され、メッセージを伝え切ることができるというのが理想的です。ECや店舗で見るときも、購入後に家のなかで見るときも、“美”を感じられる商品を作りたいと思っています。

いま、DtoCに求められること

DtoCの役割をどのように考えますか?

− 西岡氏コメント:体験やコミュニケーションなどを通して、直接お客さまへ「ブランドが目指すもの」を伝えることができるのがDtoCの一番の魅力ではないでしょうか。現代のモノと情報が溢れるなかで、ユーザーの価値観は徐々に変化しています。これまでの「流行・高級ブランド志向」から、「自分に合う商品・サービス重視」でモノが選ばれるようになってきました。そのときに重要視されるのが、DtoCで得られるような“リアル感”だったり“信頼感”ではないでしょうか。

まさにUN CALLINER ZEEPは今、DtoCの強みを活かしてブランドの認知度や訴求力を上げている段階です。ターゲット層は「高感度でありながら、自然体のスタイルをもつユーザー」としていて、彼ら彼女らは、従来よく見る費用を掛けた大型プロモーションや一過性の流行に信頼を置きません。ローンチしたばかりである現段階では、まずは一人でも多くの方にUN CALLINER ZEEPを知ってもらい、体験してもらうことが大切だと考え、大きな広告を打つことはせず、百貨店やセレクトショップなどでPOP UPの開催を実施しています。

当社がアパレル専門商社として培ってきたノウハウやコネクションを活かして、ユーザー特性を見極めた戦略構築ができること、ファッション業界との繋がりからアプローチできることは、DtoCをしているうえで強みになりますね。

今後の展望を教えてください

− 西岡氏コメント:コロナショックの影響もあって、日本でのデビューが先行してしまったのですが、今後はヨーロッパを中心に世界での販売を予定しています。新技術の開発や日本製であることなど、魅力に映る要素を散りばめていますが、それ以上に“内面の美”を感じられるブランドとして、世界レベルで存在感を示していきたいです。

そして、ブランドのシンボルマークでもあるオレンジラインが入った商品が人々の暮らしに寄り添って、親しまれることを望みます。ゆくゆくは、このオレンジラインを見るだけでUN CALLINER ZEEPだと認知してもらえるだけのブランド力というものを付けていきたいですね。

インタビューにお答えいただき、ありがとうございました。

より豊かな暮らしに向かって

「実は“ライフスタイル業界”という業界の括りやセグメントをよく理解しきれていないんですよね」と語った同氏。それでも、以前に増して着実に衣食住各業界の垣根がなくなっていることを感じているそう。実際に各業界、売場を見ていればその変化は明らかで、コスメ一つとっても百貨店の美容コーナーやドラッグストアのみならず、セレクトショップやアパレルショップ、スポーツショップなどなど、たくさんの小売店で買い求めることができる。

好きな服を着て、好きなものを食べて、そして好きな環境で暮らす。全ては「自分にとっての豊かな暮らし」に向かって皆歩んでいる。世のなかに多くあるブランド各社も、その同様のゴールに向かって手を取り、共に人々の暮らしを豊かにしていくことができれば、市場のさらなる活況が望めるのかもしれない。

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