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DULTONとは?

ライフスタイル業界の中では老舗のブランドとして、30年以上の歴史を持つDULTON (ダルトン) 。創業間も無い頃から多くのライフスタイルショップへ商品を供給しており、いつの時代にも色褪せる事なく「DULTONらしい個性」を発信し続けている。定番の商品となったトラッシュカンやスチール商品をはじめとする基本ラインはそのままに、多角的に商品を展開し、現在では3,000SKU以上となっている。

商品量の多さもあり、様々なスタイルの売場に合わせる事が出来る、そんなバラエティに富んだブランドにも関わらず、昔から変わる事のない圧倒的な「らしさ」を兼ね備えているのがDULTONの最大の強みと言えるだろう。

トレンドに敏感な業界だけに、時代の変化に合わせて大きく世界観を変更したり、新たな人材や商品数が増えていく過程で、いつの間にか少しずつ世界観がブレてしまう事もある。そういった課題を抱える中で、DULTONが普遍的な個性を主張し維持できる理由は何だろうか。

今回は「道具を愉しむ、もうひとつの豊かさ」をタグラインに掲げるDULTONが、「らしさ」を確立するためにどんなことを大切にしてきたのかを中心に、4人のキーパーソン達にそれぞれの立場で対談を行ってもらった。

DULTON (ダルトン) 
https://www.dulton.co.jp/
インテリア・雑貨の総合メーカー。全国のライフスタイルショップに商品を提供するほか、東京と大阪を中心に直営店をオープンしている。アメリカンデザインのトラッシュカン、キッチンウェア、スチールチェアなど定番となっている商品を多数抱える。住空間・商空間のコーディネート事業も展開。
[対談メンバー] ※五十音順

池田洋志 (イケダ ヒロシ) 氏 (写真左上) :直営店の統括や連動した動きのハブとなる役割を担いながら、より良い店舗づくりを現場で実践するサポートも行う。

鈴木達也 (スズキ タツヤ) 氏 (写真右上) :商品卸事業の統括。住空間・商空間・オフィスなどの空間全体の提案も行う。DULTONの商品・空間を全国に拡げることがビジョン。

松林亮 (マツバヤシ リョウ) 氏 (写真左下) :マーケティング担当で、社内業務は多岐に及ぶ。販促物やキャンペーン全般の製作を担う。

藁谷聴 (ワラガイ アキラ) 氏 (写真右下) :長年にわたり営業・商品仕入れを担当。現在はPR業務全般の担当として、DULTONが経験していない新たなチャレンジの開拓を期待される。

DULTONが大切にしていること

最初に、どんな会社か率直なご意見を教えてください

− 池田氏:創業者がかなり変わっていて、枠に収まらない人だったので、商品の選定や仕入れてくる過程も含めて、珍しいもの、インパクトのあるものを他社より早く展開してきた会社です。その印象が今でも根強くブランドに直結しています。

− 鈴木氏:元々は海外では当たり前のモノを日本で拡げたいというのがスタートになっているんです。それと同時に、ライフスタイルも併せて提案したいという想いがあります。クラシックアイテムのトラッシュカンがまさにそうで、「捨てることを楽しむ」というように、その商品があることで些細なアクションに愉しみが加わる。そういうアイテムの取り扱いがベースになっています。

− 松林氏:創業者がアメリカなど海外を旅してきていて、それが大元のインスピレーションになっていると思いますね。

− 藁谷氏:また、とにかく同業者によく知っていただいてます。やっぱり売れ筋の商品ができたことが大きいんじゃないかな。トラッシュカンのように昔から今に至るまで売れ続けているアイテムを持っているというのは強いし、それがブランドになっていると思います。

− 池田氏:下手すると30年ぐらい売れている商品もあるんですよ。家具ではそういうモノもあると思いますが、インテリア小物や雑貨だと売れ続けている商品って中々ないですよね。

長く愛されているTRASH CANのうちの一つ、2DOORS TRASH CAN

− 池田氏:後に続くスタッフのスピリッツも、ずっと同じ商品を取り扱っていることが軸になって、ブレずにいられるのではないでしょうか。商品の個性ってブランドごとにあるものなんですけど、どの商品を見ても一目で「DULTONらしさ」が分かります。

− 藁谷氏:商品ってトレンドと共に常に変わっていきます。そうすると少なからずズレが生まれてくる。気付いたときにはまったく別の個性に変化してしまっていて、ブランドらしさを失ってしまうことも多いと思うんです。でも、DULTONがそうならないのは、昔から今までコアになる商品がずっと売れているからだと思います。

− 松林氏:トラッシュカンというアイテム自体が日本になかった時代に、商品として持ってきたというより、一つのカルチャーを持ってきたことが「トラッシュカンといえばDULTON」というブランドを定着させたのかなと思います。

今、どんなことを大切にしているのでしょうか?

− 松林氏:最近よく挙がっている言葉でもあるんですけど、「ワクワク感」を大切にしているのがDULTONです。それをもっと空間で表現していこうとしています。

− 鈴木氏:今まではどちらかというとモノを単体で売るような手法を取っていたんですが、直営店の拡がりにより、DULTONの商品・空間を身近に感じてくれる方が増えてきました。卸事業の立場でも、商品単体の取扱ではなく、空間全体をDULTONで演出しませんか?という提案の仕方を大切にしています。

− 池田氏:よりブランドとしてのワクワク感の高みを目指したいですね。店舗を例に挙げるなら、「旅行に行ったような非日常を味わえる感覚になるお店」があるんです。そういう空間づくり、店舗づくりをしたいと心掛けています。

ここ2,3年で僕らも直営店を増やし、取引先からもDULTONのような世界観を作りたいという声も多くいただく中で、少しずつ各店舗のコンセプトがはっきりしてきました。これが良い意味で面白さを作り出しています。

直営店の一つであるDULTON自由が丘店

− 池田氏:多少、店長自身の趣味が入っちゃってもいいんです。そこにDULTONの企画する商品が並ぶと、同じ商品でもそれぞれ異なる魅力を持ったテイストの売場をつくることになります。各店長がどうDULTONのコンセプトを感じて表現してもらうかを大切にして欲しいです。

− 鈴木氏:とあるお客様が「ダルトンに行くことってイベントだよね」と仰っていて、ふらっとコンビニやスーパーに行くのとは明らかに違う感覚だって言ってくれたんです。行くことそのものが目的になっているお店、それが店舗としては一つのゴールかもしれないですね。

− 藁谷氏:DULTONの直営店を回るだけでも、エンドユーザーにワクワク感を与えられるかもしれません。

エンドユーザーがワクワクする演出を大切にしている (写真は町田店の店内)

ダルトンのデザインで、「らしさ」が表現されているのはどの部分でしょうか?

− 藁谷氏:例えば、Metal Product (メタル プロダクト) ですね。金属を使ったプロダクトはDULTONの商品の中では主役だと思います。これも創業者が金属を好きだったからなんですが、スチールの家具のシリーズは昔から売れている商品です。100年使えると言う位の耐久性の高さが魅力ですね。

− 池田氏:Rも特徴です。商品の角にRをつけることでオールドアメリカンの雰囲気に近づきます。工程を増やしていてるのですが、オリジナルプロダクトの重要な要素だと思います。

− 鈴木氏:引き出しの角を丸くするなど、機能的には必要のない部分に手間をかけています。

− 松林氏:キッチンツールのステンレスを他のより重くデザインしていたり、ソファも足を金属にしたりと、全体的にあえて無骨にすることがDULTONらしさ表現しているポイントです。

Rをつけて商品に特徴を生んでいる

商品選定にはルールがあるのですか?

− 池田氏:さすがにこれだけの数があると、一つの定義では整理しきれません。基準としては、既に世の中にあるけどそれとは材質の異なるものにしたり、インテリア業界にはないけど転用してライフスタイルに落とし込むなど、選定する「視点」を大事にしています。

− 鈴木氏:商品選定についてはヒトに起因する部分が大きいですね。弊社のコンセプトである「誰もが使うあたり前に在る道具、身の回りのひとつひとつを今よりもっと面白くすること」に合うかどうかを見ています。

− 松林氏:時計や照明など、デザイン性で選ぶ事が当たり前になっている商品がある一方で、まだ文化として浸透していないモノもあります。掃除道具は正にその内の一つで、小さな道具でも「ダルトンだったらもっと面白くできるよね」というのが条件です。

DULTONのこれから

ブランドとして今後目指すこととは?

− 藁谷氏:同業他社などを見回してみると、類似商品が増えてきていると感じますね。例えばリモートワークが流行ると、同じようなデザインのテーブルや関連商品が各ブランドから出てきます。それをうちが出すなら「ダルトンの商品だから買おう」と思ってもらうことが必要で、その輪郭がブレなければBtoBでもBtoCでも買ってもらえると思うんです。

だから「商品としてのDULTONらしさ」を考え続けることが今後も重要で、それはブランディングにもなります。色や形は一緒でも、素材を変えたり、DULTONらしい個性を出すことが基本的な考え方であることは変わりません。もっと個性を発信していき、エンドユーザーが知っている商品だけを売るのではなく、DULTONが展開する事で初めて知る商品を数多く創りたいです。

− 松林氏:それがライフスタイルショップのあるべき姿ですよね。直営店からのタッチポイントが増えてきたこともあり、一人のユーザーへより密接に関わっていきたいという想いを、スタッフ全員が強くしていると思います。今後はもっとブランドとしてのアイデンティティと本質を発信していきたいです。

− 池田氏:そういう意味では、日本では馴染みのない欧米のモノを集めていた時のように、商品だけじゃなくてブランドとしての在り方としても原点回帰のような意気込みで、ライフスタイルショップやエンドユーザーへ道具の愉しみ方を伝えていきたいですね。

− 松林氏:その一つの施策として、もう一度自分たちの強みを打ち出すためのキャンペーンを展開します。自分たちの一番強い商品を打ち出しながら、ライフスタイルそのものを提案するんです。「BACK TO CORE」と掲げて、「DULTONの代名詞である“METAL PRODUCTS”を中心に据え、創業時より憧れ求め続けていたスタイルを発信していきます。

− 松林氏:卸サイドでも全国のパートナー店様と連動したキャンペーンを展開し、DULTONの良さをさらに知ってもらいたいです。

キャンペーンの中心に据えられたMETAL PRODUCTSの商品

具体的なキャンペーンの手法とは?

− 松林氏:基本的にはVMDが主体になります。それぞれの商品が魅力的に見える形を提案して、法人向けにも販促物でより魅力的にお伝えしていこうと思っています。

あとはムービーですね。自社のインスタグラム等で世界観を感じてもらうきっかけとして活用していきます。こうしたキャンペーンを年2回実施して、巻き込むお客さんの数を増やしていきたいです。

最後にライフスタイル業界についてご意見をお聞かせください

− 藁谷氏:ライフスタイル業界をずっと見てきていますが、最近は商材として飽和状態なので、売場も似たり寄ったりな雰囲気になってきている。商品単体だけで考えなければ、まだまだ売場に個性を出していけるアイデアがあるのではないでしょうか。

− 松林氏:今は「売れるもの」が分かりやすいというか、調べればどんなものが売れているか分かってしまうので、どこの雑貨屋に行っても売れ筋商品は同じものが並んでいるんです。もっとお店ごとの独自色を出さないと、ユーザーに足を運んでもらえなくなります。

インテリア業界に関わっている人たちが、純粋に好きだと思うものを主張していくことが必要なのではないでしょうか。そうすればもっと面白い業界にできる筈です。モノが溢れてきたことでトライアンドエラーが出来なくなりつつありますよね。置きに行っているというか、露骨にエンドユーザー側へ寄り過ぎているのを感じます。

− 鈴木氏:僕はここ最近、ライフスタイルの空間をつくるのが簡単になったなと思うようになりました。ネットで情報がすぐ手に入るし、商品を選ぶのが楽になりましたよね。DULTONとしては、来店していただける仕組みをつくらないといけないと考えています。「空間を見てもらって、ワクワクしてもらって、買ってもらう」というスキームを作っていかないといけないです。

僕は実店舗が好きです。実店舗が一番楽しい場所であるべきだと考えています。だからこそオンラインを見たときでも、DULTONのお店に行ってみたいと思うきっかけを仕掛けることが必要です。

− 池田氏:これからは今まで以上にオンラインとの連動も増やしていかなければなりません。そのためには、実店舗と合わせて統一した世界観をブランディングしていく必要があったり、キャンペーンがあったり、定番商品の再定義が重要なのかなと思います。もっともっとユーザーにとって良い店舗をつくっていきたいです。

インタビューにお答えいただき、ありがとうございました。

DULTONの魅力の原点

DULTONが創業した30年前と比べるとライフスタイル業界も成熟し続けてきた。世界で最も大都市となっている東京でも、かつては1つの繁華街に1店舗ぐらいしかライフスタイルショップが存在していなかった時代がある。

そこから今に至るまでに、先人たちが様々な挑戦をし続けて業界を盛り上げてきた。お陰様でライフスタイルショップで売れるモノもナレッジという観点から、ある程度は精査されてきているのではないだろうか。

その代わり、売場では売れやすいモノが多くなり、黎明期のようなチャレンジングな商品が減ってきてしまっている。特にファッションでは、その状況が如実に現れていて、今ではファストファッションが業界を牽引している構図となった。

すでにインテリアや雑貨の業界も同じ道を辿っているが、その状況の中で勝ち残れる企業は価格勝負に強い会社しかないと思う。

そんな流れの中で、DULTONのようなスピリッツを持った企業は貴重な存在だ。昔からトライアンドエラーの下に行ってきた商品選定は、定番商品を生み出すとともに新たなカルチャーをもつくってきた。

また、今もなおチャレンジングな商品や売場づくりは随所に表れていて、そこから次のカルチャーが生まれることを期待させる。

商品は単体として存在するのでなく、暮らしを豊かにする何かを持っている。ライフスタイルショップとはそういったアイテムに溢れた場所であるはずだ。

約30年という長い月日が経っても売れ続けている定番商品をいくつも持っているように、企業が魅力的であり続けるのは、拡大しつつも本質的なスピリッツを受け継いでいきやすい環境が整えられているからだ。今回の取材からそのことを垣間見ることができた。

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