2021.01.26.tue

ファッション業界に浸透するアウトドアブーム

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“アウトドア”というトレンドの影響力

トレンドの影響力は業界の垣根を越える。MMD TIMES では昨今のアウトドアブームに着目し、アウトドア業界の現状とこれからについて、ブランドやショップ、立場を絞らず各方面で取材を行ってきた。

新型コロナウイルス (COVID-19) の影響もあり、一旦落ち着いたかと思われたブームに拍車が掛かっているアウトドア業界。

コロナ禍で休日や外出自粛中のアクティビティが制限される中、比較的感染リスクが低いと考えられていることから、これまで動きが鈍かった平日や冬季にも人が動いている。

それに加え、市場の規模拡大により多様なアウトドアアイテムが普及し、さらにSNSや動画でのHOW TOが多く発信されるようになった。このことから、初心者が気軽に楽しめるアクティビティへとハードルが下がったこともブームが継続している大きな要因だ。

こうしてブームを繰り返し、年々アウトドア人口は着実に増えている。そして、そのブームの影響を受けているのは市場関係者だけではない。住宅やインテリア、アパレル業界など様々な業界がそこに着目し、トレンドを取り入れ消費者との接点をつくろうとしている。

MMD TIMES は今回、服飾雑貨を扱う2つのブランドに注目した。両者共にアウトドアブランドではないものの、ブームの影響を確かに感じるという。他業界からわかるアウトドアブームの拡がりを考察してみる。

アウトドアという外せない利用シーン

バッグブランド「AS2OV (アッソブ) 」は、タウンユースからビジネスシーンまでどんなファッションでも、コーディネートの一部に取り入れられるバッグを展開している。「UNBY (アンバイ) 株式会社」が立ち上げたオリジナルブランドだ。

卸売だけでなく直営店での販売も行っている同社だが、ここ数年のアウトドアブームによって、ショップやエンドユーザーのニーズに変化が現れはじめたという。

性別やファッションスタイルを選ばない、機能的かつオシャレなデザインが特徴

もともと、キャンプやハイキングなどのアウトドアに必須な防水性や耐久性に優れている機能的なプロダクトを多く展開するAS2OV。

デザインも含めて利用シーンを問わず使用できることから、アウトドア利用として購入を求める声が増えたという。

実際に、そういったニーズや時代の流れを汲んで、アウトドア利用を想定に入れたプロダクトもリリースされている。

バッグなどの汎用性の高いアイテムにとって、アウトドアは今や外せない想定シーンになっているようだ。

アウトドアブームが確立したブランドの個性

バッグに続いて注目したのは同じく服飾雑貨である帽子。野外のアクティビティに欠かせないアイテムのひとつである。

2010年から「株式会社ランチ」が展開する帽子ブランド「halo commodity (ハロ・コモディティ) 」。

もともとはアパレルのセレクトショップメインで卸を行ってきた同社だが、ここ5〜6年の間でアウトドアショップの比率が増加し、伴って商材もアウトドアシーンを意識したモノが増えている。

以前からこだわってきたファッション性に加えて、その見た目からは一見わからないアウトドアシーンを想定した細やかな機能性を兼ね備えている点がユーザーに人気の理由だ。

アウトドアだけでなく、タウンユースでも使える点はライト層にとって手軽であり、購買意欲を高めるに違いない。

ソフトなツバ芯を活かし収納までできるキャップ

アウトドア業界の成長と共にブランドの個性を確立してきたhalo commodity。

今やアウトドアは“トレンド”に留まらず、ひとつの“カテゴリ”となっている。

今後は登山やトレイル、フィッシングなど、より細分化されるコアなアウトドアファン層への商品開発を検討しているようだ。

アウトドアのエレメントを取り入れる工夫

いずれのブランドもバッグや帽子といった汎用性の高いアイテムを扱う中で、エンドユーザーの想定シーンとしてアウトドアの比重がこのブームによって大きくなってきたことを感じていた。

コロナショックの影響やトレンドによって、アウトドアが消費者により身近になった今、商品開発には欠かせない利用想定シーンかもしれない。

AS2OVからは「キャンプベスト」というタウンユースにも着用できるワードローブが展開されている。

アウトドアシーンにあると便利な機能を普段のファッションに取り入れる発想だ。

AS2OVのタウンユースにも着用できるキャンプベスト

このように、ブームによって身近になった市場が、我々の”余暇”から”日常”に浸透してくる日も遠くはないだろう。

アウトドア利用できるアイテムだけでなく、日常の中にアウトドアの要素を取り込んだライフスタイル商品からも目が離せない。

また、ライト層の増加によりパイが増えたアウトドア人口。今度そのライト層が、コア層へと移りゆくフェーズに入るだろう。

halo commodityのように、細分化された用途へのターゲティング強化を図るのもひとつの手段である。

ファッションに限らず、住宅、インテリア、食品など、各業界がこのアウトドアブームを他人事と捉えず、それぞれに進化させていく必要がある。

自らの業界へ取り込んでいく姿勢がこの先の新しいトレンドへと繋がり、今後売上を伸ばしていく鍵になるのではないだろうか。

トレンドだからと安易にアウトドアアイテムを扱い始めるだけでは、エンドユーザーに驚きを与えることはできない。

各々が扱うメインカテゴリや自社の主力商品など、それらと効果的に掛け合わせて提案することが、セレクトショップでアウトドアアイテムを扱う価値ではないか。

“アウトドア”は取り込み方の工夫次第で、まだまだ計り知れない相乗効果を生み出す可能性を秘めている、そんな気がしてならない。

掲載ブランド紹介

AS2OV (アッソブ)

デザイン性に機能性をプラスしたプロダクトを展開するバッグブランド。「UNBY (アンバイ) 株式会社」が展開。ファッションのコーディネートの一部としてバッグを楽しむスタイルを提案・発信する。

取り扱いアイテム:バッグ、リュック、ポーチ、財布

公式ホームページはこちら
https://www.unby.jp/c/brand/as2ov


halo commodity (ハロ・コモディティ)

「株式会社ランチ」が展開する帽子ブランド。機能性とファッション性をバランスよく調和させ、時と場所を選ばず、様々なシーンで気兼ねなく使える帽子を提案する。

取り扱いアイテム:帽子、服飾雑貨

公式ホームページはこちら
https://www.halo-commodity.com/

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