Contents

好きと欲しいをつくるInstagram

ICT総研が発表した「2020年度 SNS利用動向に関する調査」によると、SNSのアクティブユーザーは年々増加しており、日本国内におけるSNS利用者は7,975万人。この人数は普及率80%を示すという。

なかでもMMD TIMESが注目したのは「Instagram」。本調査によると、InstagramはYouTubeやLINEを抜き利用者満足度1位のSNSであり、昨今ではライフスタイル業界でも多くの企業やショップがアカウントを運用している。

出典:2020年度 SNS利用動向に関する調査 (ICT総研)

では、そんなInstagramが掲げるInstagramの価値をご存知だろうか。2020年11月に開催されたInstagramの公式イベント「House of Instagram Japan」で、代表の味澤 将宏 氏はInstagramのマーケティングにおける価値を「好きと欲しいをつくる」と表現している。

Instagramは、ユーザーごとに多くの“好きなこと”が発見できるアルゴリズムが特徴だ。特に「発見タブ」では、パーソナライズを行いユーザーにとって興味・関心の高いコンテンツを表示させる。そのため、ユーザーは必然的に「好きなものを発見したい」というマインドとセットでInstagramを訪れることとなる。

興味深いのは日本のユーザーの特性だ。日本のユーザーは他国と比較して「好きなものを発見し、欲しいモノを見つけ、アクションする」傾向が強いというのだ。

実際に日本のユーザーは、積極的にハッシュタグ検索を行う傾向があり、その数は他国の5倍。さらに気になるものを発見すると、42%がブランドを知るためにプロフィールにアクセスするとのこと。

また、ユーザーの85%がフィード以外の機能を利用している。例えばストーリーズ、IGTV、ライブ、ショップ機能などを活用しており、日本のユーザーはショッピングタグが付いている投稿から商品詳細を見る割合が他国に比べて3倍。これは企業にとって期待値の上がる結果だろう。

目的に合わせた機能の活用で、商品の購買促進だけでなく、モノづくりの背景やブランドストーリーを伝えるなど、幅広く、多くのことが期待できる。Instagramは企業にとって引き続き欠かせないSNSであることは間違いない。

ライフスタイル業界のPRを語る

Instagramは写真共有アプリケーションである特性から、ユーザーは日々の暮らしを公開し、そこに興味関心のあるユーザーがフォローをする様子がよく見られ、ライフスタイル業界との親和性が高いことが窺える。これはエンドユーザー間だけでなく、ショップや川上にいるブランド・メーカーのBtoCの場として好ましい。実際に様々なショップや企業がエンドユーザーに向けPRを行っている。

そこでMMD TIMESは、ライフスタイル業界でのInstagramのPR活用について現状を探るべく、3名のゲストを招き対談を行った。

インテリア雑貨E Cサイト「Hinata Life (ひなたライフ) 」を運営する江戸 英雅 (エド ヒデマサ) 氏。Hinata Lifeの立ち上げ当初から同サイトへの出品を行う企業「アッシュコンセプト」の名児耶 秀美 (ナゴヤ ヒデヨシ) 氏。そして、Instagramでライフスタイル系のインフルエンサーとしてのポストを確立している上田 麻希子 (ウエダ マキコ) 氏だ。

上田氏は、「ひなたライフのインフルエンサーマーケティング」で紹介した「ひなたライフ公式アンバサダー」でもあり、ひなたライフに出品されているアイテムのPRも行っている。

PRを行うインフルエンサー、依頼するECショップ、出品するブランド、立場の違う三者にそれぞれのInstagramへの向き合い方、今思うこと、これからについて思い思いに語ってもらった。

[対談メンバー] ※五十音順

上田 麻希子 (ウエダ マキコ) 氏 (写真右) :ライフスタイルアップコーディネーターとして活動する傍ら、10万人以上のフォロワーを抱える自身のInstagramアカウントで自宅収納や等身大のライフスタイルを発信している。
https://www.instagram.com/uedmkk/?hl=ja

江戸 英雅 (エド ヒデマサ) 氏 (写真左) :株式会社ひなたライフ代表取締役。インテリア雑貨ECサイト「Hinata Life (ヒナタライフ) 」の創設者。2021年8月現在のInstagramアカウント (@hinatalife)  のフォロワーは52万人を超えている。
https://www.instagram.com/hinatalife/?hl=ja

名児耶 秀美 (ナゴヤ ヒデヨシ) 氏 (写真中) :アッシュコンセプト代表取締役。生活者とデザイナーが楽しめるモノ創りをめざし、デザイナーとのコラボレートブランド「+d (プラスディー)」をはじめ様々な製品を発信。ジャパンブランド・地場産業振興コンサルティング等も手掛ける。

Instagramで信頼を得て情報を伝えるには

皆さまの出会いを教えてください。

名児耶氏:江戸さんは3年前の展示会でお会いしました。我々のブースに江戸さんがいらした時、ビビビと感じるものがありましたね。熱意の量が他の人とは段違いでした。ECの黎明期にもたくさんの人に出会っていたので「この人は開くな!」と直感的に思ったんです。仕事は「人と人との繋がり」です。江戸さんという人を見て、ひなたライフさんと仕事をしようと思いました。

− 江戸氏:プレッシャーですね (笑) アッシュコンセプトさんとは、その展示会でお声掛けして以来からのお付き合いがありますが、実は、公式アンバサダーの上田さんとお会いするのは今回が初めてなんです。いつもお世話になっています。

− 上田氏:こちらこそ、いつも素敵なアイテムを紹介してくださってありがとうございます。

上田氏がひなたライフの公式アンバサダーになったきっかけは?

− 上田氏:ひなたライフさんからInstagramのアカウント宛にDMをいただきました。その当時、既にHinata Lifeというサイトの存在は知っていて、見やすくて分かりやすい、買い物したくなるサイトだと思っていたので、お声掛けいただいた時はとても嬉しかったです。

それから、アッシュコンセプトさんも公式アンバサダーとして活動をする前から知っていました。実際に自宅で使用していた商品も多くて、取り扱い商品がドンピシャなところも、ひなたライフさんから公式アンバサダーのお声掛けをいただいた理由なのかなと思っていました。

− 江戸氏:
仰るとおりです。フォロワーが多い方へ闇雲にアプローチしているのではなく、なかでもHinata Lifeとの親和性があり、魅力をしっかり伝えていただけそうな方にお声掛けしています。

信用に繋がる情報発信

ライフスタイル業界のPRの現状は?

− 名児耶氏:ブランドとしては手探り状態です。テレビなどの4マスからインターネットやSNSへとPRの仕方が明らかに変わった実感は、もう言わずともありますよね。その変化に伴って、ショップだけではなく、我々も積極的に世の中に情報発信していかなきゃいけない時代になりました。

ただ、ブランドが自分たちだけで発信していくのは本当に難しい。正解が分からないので、正直、千本ノックをしているような感覚ですね。なので、ひなたライフさんや上田さんのように「発信を得意とする方」にブランドのことを知っていただき理解してもらって、その先の方々に伝えていただく、そういうことも必要だと思っています。

− 江戸氏:信頼いただけて嬉しいです。Hinata Lifeは「リアルの接客をWEBで超える」というビジョンの下、立ち上げ当初から1日1コンテンツを必ず投稿し、その精度にはこだわってきました。

Instagramも一つのコンテンツだと捉えて、何をどう伝えていくかを追究していきたいと思っていますし、それができる人や企業が伸びていくと考えています。今の時代は情報過多で1人が1日にインプットできる量も時間も限られているので、情報の精度を上げていくしかないですね。

− 上田氏:私もInstagramを始めた3年前は、毎日欠かさず投稿をしていました。フォロワーを増やすのに魔法はないんですよね。地道な投稿で少しずつフォロワーが増えていって、徐々に企業から依頼を貰い始めてPRを行うようになりました。P Rをするようになってからは、発信する情報の内容もより意識するようになりましたね。

− 上田氏:心掛けているのは、「サイトに載っていないことでも自分が知りたいと思ったことは必ず書く」ということです。そういう自分が必要だと信じている情報を発信し続けることが、フォロワーの皆さんにも信用してもらえる一つの要素なのかなと思っています。

− 名児耶氏:ユーザーは「なるほど」と思えることが三つ以上あると購買へと背中が押されるんですよ。我々も商品を開発する時、みんなの家に絶対あるけど、他とは“ちょっと違う工夫”を必ず盛り込むようにしています。その差別化要素が、モノづくりの視点でインフルエンサーの皆さんが発信したくなる内容へと繋がるのかもしれませんね。

InstagramでPRする難しさ

直面している課題はありますか?

− 江戸氏:Instagramに限っていうと、今後の運用は悩んでいますね。フォロワーは月に1万人〜1万5千人ほど増えていっているのですが、実はエンゲージは低くなっています。さらにコロナショックもあってか、緊急事態宣言後はエンゲージが下がるなど、これまでとはちょっと違う動きをしている感覚があるので、Instagramとの向き合い方は模索をしています。

− 上田氏:
今はただ投稿をしているだけではフォロワーは増えないどころか減ってしまうこともある状態なので、そんな中フォロワーが増えているだけでもすごいと思います。

私の立場を伝えると「#PR」で投稿をするとフォロワーが減るのが現状です。でも、フォロワー数やいいね数などの数字を気にしていると“らしい投稿”ができなくなってしまうので、PRでもそうでなくても、今見てくださっているフォロワーさんのためにこれまで通りの私らしい信用できる情報発信をしたいと思っています。

なので、PRであれば何でも受けるということはしていなくて、自分なりに商品やブランドの選別は行っています。そうした結果、実は今継続してPRを行っているのはひなたライフさんだけなんです。

− 江戸氏:そうなんですね。それは嬉しいですね。

上田氏:先ほど名児耶さんが仰っていたように、私も「人と人との繋がり」をとても大切にしていて、ひなたライフさんは本当に対応が真摯で丁寧で、一緒にお仕事がしたいと思える会社です。

Instagramで支持される情報

江戸氏と上田氏のお話を聞いてブランドとして思うことはありますか?

− 名児耶氏:フォロワー数の伸び悩みやユーザーが抱くPRへのイメージなど、多少なり課題がある中で、hina友プラットフォームを含め、ひなたライフさんのInstagramのPRの効果は大きいですよ。アッシュコンセプトの商品だと、今年の新作となるまな板のcutting mat (カッティング マット) が売れていて、ひなたライフ公式アンバサダーさんからも圧倒的な人気になっていますね。

多くのインフルエンサーからも支持されている cutting mat (カッティング マット)

− 名児耶氏:様々な商品が飽和状態にある中で、今はPRを積極的に行っていかなければ売れない、つまりPRすることで一定数購買があるのも事実です。いくら良いモノを作ってもエンドユーザーにその良さが伝わらないと結果 (=売上) には繋がらないので、多くの企業にとってPRはとても重要ですね。

それに、上田さんのようにブランドの商品説明にないような情報を発見して伝えてもらえるのは、我々にとって、とても貴重なことです。ユーザーの生の声が聞けるのは、今後のモノづくりの参考になるので非常にありがたいですし、hina友の施策は、インフルエンサーが自らPRしたい商品を申請するカタチを取っているので、インフルエンサーに人気な商品が分かります。つまりPRしやすい商品が分かるので、インフルエンサーに選ばれる商品という観点で開発を行える可能性が生まれます。

− 上田氏:名児耶さんのように現場の声を知りたいと仰るブランドさんは多いですね。いち主婦の視点が仕事になるというのは今の時代ならではでとても嬉しいです。

− 名児耶氏:購買決定の7割は主婦ですからね。

− 江戸氏:もはや素人革命が起きていますよね。独自の発信が支持される時代で、特に女性中心にそういった方が増えていて、本当に皆さん優秀だなと思います。

これからのSNSへの向き合い方

ここまでを振り返って、SNSを運用する上でのコツは何でしょう?

− 江戸氏:上田さんも仰っていたように「魔法はない」の一言に尽きますね。今はただ投稿するだけではフォロワーは増えないし、フォロワーが増えてもエンゲージメントまで保証ができません。

− 上田氏:そうですね、Instagramであればリールの比重が大きくなってきているので、何かこれまでと変化をつけて検証するのであれば、リールの強化は必須だと思います。

− 江戸氏:ただ、テレビショッピングみたいにならないような工夫は必要そうですよね。機能を駆使した新しい発信の仕方が求められていると思います。

− 江戸氏:SNS全体でいうとInstagram、YouTube、TikTokなど目を使うメディアが飽和状態にあるので、Clubhouseが一時的に流行ったように、次は耳に届けるコンテンツが来るのではないかと個人的には考えているんですよ。

どのSNSを運用するにも、そのSNSの特徴と達成したい目的を理解して精度の高いコンテンツを作れる人が、多くの信頼を得られると思っています。

また、自分を信じて継続していくことも必要です。Hinata Lifeもサイトのローンチから3年でフォロワー50万人、1,000人以上のインフルエンサーの方々に協力いただけているのは、1日1コンテンツの更新を怠らずに続けてきたり、一人一人インフルエンサーの方にアプローチをしたりと地道な努力を続けてきた結果です。

− 上田氏:本当にそうだと思います。私も数年前に始めた毎日の小さな投稿が大きな発信源に変化していって、「いち主婦の私が!」といまだに驚いています。一歩一歩地道に取り組むことがSNSで影響力を持つコツなのかなと、むしろそれ以外はないんじゃないかと感じていますね。

最初はフォロワーの増加に恐怖も感じましたが、今は本業の整理収納アドバイザーとしての仕事にも繋がっていて、かつ今回こうして皆さんとお会いする機会にまで繋がって、それはやはりSNSのお陰なので努力してきて良かったと思っています。

− 名児耶氏:ひなたライフさんの新しい企画には毎回期待しています。なかなかこんなに考えやノウハウをオープンにされている会社さんは少ないです。サイトの立ち上げ当初からお付き合いしている身として、一緒に成長できることを願っています。

インタビューにお答え頂き、ありがとうございました。

SNS社会へと順応するチカラと継続的な発信

次から次へと新しいSNSや機能がリリースされる中で、各人に大切なこととは何か。まずは、その時代の流れをキャッチし順応していく対応力であろう。順応していく力があれば、どんなショップや企業、個人にもチャンスがあるのが今なのだ。特にSNSはその対応スピードも重要となってくる。

また、商品を開発する立場のブランドは、SNSの普及によるインフルエンサーの誕生によって、「伝える」という行為がブランドやショップだけに限らず、一般ユーザーも担うようになったことを十分に理解する必要がある。世の中のニーズの把握はもちろん、加えて、エンドユーザーの伝えたい欲求を掻き立てるような「発信のしやすいモノ」「発信したくなるモノ」という点を意識した商品は今後ヒットに繋がるかもしれない。

ブランド、ショップ、作り手の境なく発信することが珍しくなくなった今、売上や認知拡大など目的を達成するためには情報発信をすること、またそれを継続して成果に繋げていくことが重要であり、欠かせない事項となるであろう。今回の対談から、ライフスタイル業界関係者、各立場からSNSの運用について改めて考えてみてほしい。

掲載企業ショップ紹介

アッシュコンセプト

モノづくりを通して世の中を元気にする会社として2002年設立。オリジナルブランド「+d (プラスディー) 」をはじめとする生活用品の企画製造、及び販売や、全国の企業・産地のデザインコンサルティング等を行う。2012年には地元・下町に直営店の「KONCENT (コンセント)」をオープン。国内・海外にも店を構える。

公式ホームページはこちら
https://h-concept.jp/


day-to-day life

ライフスタイルアップコーディネーター上田麻希子氏が住まいのお片付けのサポートを行う。自分も家族も心地よく今の暮らしに「ちょうどいい」整理収納を提案。

公式ホームページはこちら
https://day-to-day-life.com/


Hinata Life (ひなたライフ)

株式会社ひなたライフが運営するインテリア雑貨ECサイト。「ひなたぼっこのような温かい暮らしのお手伝いをしたい」というコンセプトを基に2018年1月にオープン。2021年8月現在Instagramアカウント (@hinatalife) のフォロワーは52万人を超え、「ひなたライフ公式アンバサダー」、「hina友」と称されるライフスタイル系インフルエンサーを合計1,000名以上抱えている。

公式ホームページはこちら
https://hinatalife.com/

Recommend