2021.08.10.tue

STREAMER FIELDPOSTが描く世界

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ストリーマーの新たな挑戦フィールドポスト

千葉県一宮町。千葉県の東部に位置し、東京2020オリンピックのサーフィン競技会場でもある釣ヶ崎海岸を有するなどサーファーの聖地として、また別荘地として知られる町だ。

その一宮に、ここでしか飲めない最高のコーヒーがあることをご存知だろうか。駅から少し離れた民家の中を進んでいくと、のどかな田舎の景色の中に鮮やかな赤塗装された建物が現れる。

「STREAMER FIELDPOST (ストリーマーフィールドポスト) <以下:フィールドポスト>」。独立系のコーヒーストアとして知られる「STREAMER COFFEE COMPANY (ストリーマーコーヒーカンパニー) <以下:ストリーマー>」の“最高の一杯”がここ一宮で味わえる。

コーヒーを淹れるのはスタイリスト、ファッションディレクターとして活躍する有限会社TOOLS (ツゥールズ) の代表を務める 近藤 昌 (コンドウ マサル) 氏。この土地の持ち主であり、ストリーマーのコーヒーに魅了された人物だ。

日本を牽引するファッションスタイリストである近藤氏があえて“コーヒー”という新たな領域に挑戦したのは、「STREAMER COFFEE COMPANYの次なる一手」で紹介したようにストリーマーの創業者である山路 輝高 (ヤマジ テルタカ) 氏との出会いがきっかけだ。また、それだけでなく近藤氏自身が人生の新しいフィールドへと日々進んでいることも大きく作用しているようにも感じる。

今回MMD TIMESは、実際に千葉県一宮町へ向かい、オープン直前のフィールドポストを訪れた。近藤氏の描くビジョンや今後の展望を一宮の空気と共に届けていく。

STREAMER FIELDPOST (ストリーマーフィールドポスト)
千葉県一宮町に店舗を構える独立系コーヒーストアSTREAMER COFFEE COMPANY (ストリーマーコーヒーカンパニー)の新形態1号店。一宮という立地を活かした自然と共存するサステナブルな取り組みが目新しい。

フィールドポストというアウトプット

STREAMER FIELDPOSTとは? 改めて教えてください。

− 近藤氏コメント:千葉県一宮で最高のコーヒーが飲める場所です。ストリーマーでも使用されているエスプレッソマシーンとコーヒー豆を挽くグラインダーを使用しています。これらは世界のバリスタが認めるマシーンで、あとは私の腕次第といったところですね。ストリーマーでの練習を重ねてようやく人前でエスプレッソを提供できるようになりました。

オープンが近づいて、InstagramなどのSNSで「コーヒーストアを開く」と告知を始めると、想像以上に多くの友人知人から反響がありました。「近藤さんがコーヒー!?」「練習? どうしちゃったの?」と、みんな驚いているようでしたね。

近藤氏=ファッションというイメージが強いですもんね。

− 近藤氏コメント:もともと私が代表を務めるTOOLSという会社は、スタイリングやアパレルブランドではなく、企画をカタチにする会社として誕生したんですよ。「頭を道具 (ツゥール) のように使う」、社名もそこからきています。

実際にペットのブランドを持っていたり、昔はバーをやっていたりしたこともあります。今回も自分の頭の中に生まれたアイデアをSTREAMER COFFEE COMPANYの協力を得て、STREAMER FIELDPOSTという一つのカタチにしました。みんなは驚くけど、私自身は至って自然なことのように思っています。

有限会社TOOLS (ツゥールズ)
http://www.toolsjapan.com/
近藤昌氏率いる企画制作会社。ファッションのディレクションとスタイリングを中心に、衣食住に関するあらゆるクリエイティブな物事を請け負う。

大切なことに気付ける場所

この場所と店舗について教えてください。

− 近藤氏コメント:都内とこの一宮との2拠点生活を始めたのが5年前。奥さんや子どもたちと小さな畑を作ったり花や緑を植えたり、少しずつ自分と家族の第二の拠点として育ててきました。

コーヒーを淹れて提供するこの建物も、週末ここに帰る度にコツコツ作り上げました。オーニングを付けたり、デッキを作ったり、店内のカウンターも、まだまだ「こうしていこう」というアイデアがあるので来るたびに楽しんでもらえるんじゃないかと思います。

何より、一宮は海や山に囲まれた自然豊かな土地です。ここでは都会のストリーマーとはまた違う空気を感じながらコーヒーを味わうことができるんじゃないかな。

また、決して便利とは言えない場所なので、何かのついでにふらっと立ち寄るのではなく、ロゴにもタグラインが入っている通り、コーヒーのために”OFF THE BEATEN TRACK” (わざわざこの場所に足を運ぶ) ことになるんですよね。でも、そうして味わう一杯や、目で見て触れるモノはその人にとって大きな意味を持つと思っています。フィールドポストが「大切なこと」に気が付くきっかけを提供できる場所になれると嬉しいですね。

ストリーマーとの“違い”を感じる

「大切なこと」とは?

− 近藤氏コメント:都心から離れた時に見えてくるものだと思っています。提供しているのは都心のストリーマーと同じコーヒーですが、例えば渋谷と一宮とでは同じ最高の一杯でも感じ方が変わってくると思っています。

山路さんが掲げるようにストリーマーでは最高の一杯のために、コーヒーだけでなく店内の雰囲気作りやインテリアなど、コーヒーを取り巻く環境にも徹底したこだわりがあります。

賑やかでクリエイティビティに溢れる環境下で味わう一杯と、山や海が広がる穏やかな環境下で口にする一杯、「何が違うんだろう?」とそれぞれを比較した時、やっと大切なことに気付けるんだと思うんです。

もちろん、人それぞれ感じることは違うと思いますが、私の場合は、結婚して家族ができて、さらに2拠点生活を始めて都会と田舎を行き来するようになって、自身の“薄っぺらさ”に気付けたことが大きかったですね。

− 近藤氏コメント:それまでは東京という大都市にいて、自分の得意とすること、今いる領域ばかりだけ伸ばしていたけど、一宮という田舎に来て、それらがとてもちっぽけなものに見えてしまったんです。

そうじゃなくて、もっと自分の知らない世界、新しい領域を覗いてみたり、自然と共生することを考えてみたりして、振り幅を広げられれば人間として面白みが増して、より魅力的になるんじゃないかと思っています。そして、その振り幅が広がった時に、これまでなかった新しいアイデアが降りてくるんだと実感するようになりました。

このことを気付くのに私は随分と時間がかかったけれど、若い時期に気が付けたら本当に世の中が変わったかもしれない。今の若い世代には、それを若いうちに知ってほしいし、何かしらの気付きを得てほしくてこの場所でコーヒーを淹れています。

ストリーマーとしてのサステナブルな挑戦

これからフィールドポストで実現していきたいことを教えてください。

− 近藤氏コメント:フィールドポストは、11年前の創業以来ストリーマーで取り組んできたサステナブルの集大成としたビジネスモデルでオープンしてほしいというストリーマーのファウンダー山路さんの強い意向で実現しました。

私自身も以前からフードロスなどの問題に関心があったのですが、実際に取り組んできた環境問題の対策は、ファッションに関連したものがメインでした。今回、飲食店を持つとなった以上、食の環境問題にも徹底して向き合おうと思ったんです。

最近では、飲食店もSDGsを意識して徐々にサステナブルな取り組みを始めていますよね。サステナブルな事業はコストもかかってくるので、それまでのビジネスサイクルを急に変更することは中々大変で、大きな挑戦をするとなるとサービス内容や商品価格の見直しなどのハードルが必ず出てくるんだと思います。

ストリーマーでは創業当初から “No Lid” “No Straw” を推奨し、世の中でSDGsが大きく広がる前からお店側とお客様とでサステナブルな取り組みを一緒に行ってきました。例えば、各店舗内には環境に配慮したコンディメンツ (包材) を用意し、使用するか否かはお客様の選択に任せてきました。それは、考えを押し付けるのではなく、お店が選択肢を提供し、お客様自らが考えていただけるようにしたいとの想いからです。

− 近藤氏コメント:SDGsビジネスを前提として立ち上げたフィールドポストなら、他の飲食店ではまだ叶えられていない、もっと突き詰めた取り組みができるんじゃないかと期待しています。環境への配慮はこの大自然の中で営業していく上でも、一番に考えたいことでもありますね。

今回具体的な取り組みとしては、さらなる方材の工夫です。包材の工夫です。コーヒーを入れる紙カップは再生可能な紙でできたもの、プラスチックは土に還るものも使用しています。

店の成長と同様に、環境問題への取り組みについても、頭の中にまだまだアイデアがあります。もしかしたら私の考えは間違っているかもしれない、実験的なところもありますが、それでもまずは私のコーヒーを飲む人の顔が見てみたいですね。この場所で、みんながそれぞれの大切なことに気付くための一杯を提供できれば嬉しいです。

インタビューにお答えいただき、ありがとうございました。

価値あるモノを求めるニーズのその先

新しいフィールドへ足を踏み入れた時、これまで自分の立っていた場所がどんなところなのかがよく見えてくる。都会から田舎へ、田舎から都会へ、人は環境を変えることで自分の現状を把握し新たな気付きを得るのかもしれない。

近藤氏は自身の気付きを共有するという使命の下、そのために一番必要なものがSTREAMER COFFEE COMPANYのコーヒーであるという結論にたどり着いた。コトをきっかけにモノを購入させるセレクトショップも多い中、「モノをきっかけにコトを体験させる」アプローチは新しい。

そこで提供する“コト体験”にエンドユーザーが予期せぬ気付きがあった時、それは何にも変えがたい大きな付加価値となるに違いない。

また、この手法は飲食店以外にも取り入れられる工夫ではないか。モノを買いに来たエンドユーザーに思いがけない価値あるコトが提供される。その“空間演出”によって、ショップやブランドのファンができたり、新しいニーズや購買が発生したり、様々な化学反応が期待できる。今回の取材を参考に、モノから派生するコトや別のモノなど、空間全体を演出することを考えてみてはいかがだろう。そこからまた新しいフィールドが広がるかもしれない。

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