2019.08.06.tue

ペット用品を展開する利点

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セレクトショップが販売すべきペット用品とは?

昨今ペットビジネスは1兆5000億円に近づく成長を遂げている。飼育頭数が減少する中、ペットの家族化や長寿化の背景があり一頭あたりに消費する額が増えているのが売り上げ増進の理由だ。

ペットの家族化・長寿化が進むことで、ペットビジネスでは付加価値のある商品が求められてきている。ペットの乗車に特化したタクシーやペット専用のフィットネスが注目されたり、老犬老猫のケアサービスの需要が高まったりしているのはこうした理由からだ。

では、セレクトショップではペットビジネスにどうアプローチできるだろうか。MONTAGE.21で出会った「家族化」という点に着目した商品から、セレクトショップ向きのペット商材とそれらの展開方法を考察した。

「ペットと暮らすこと」はスタンダードなライフスタイルの一例である

大人向けのファッションブランドにベビー・キッズラインが少し展開されているように、ペットがいる生活をスタンダードなライフスタイルの一つと捉え、アパレルショップやセレクトショップで展開したらどうだろうか。そう話すのはKNOTを取り扱うメルクロス株式会社の担当者だ。

KNOTの商品は南伊豆の漁師にインスパイアされデザインした、ファッションや生活に溶け込むベーシック・ナチュラルカラーのリードだ。天然素材なので使うほどに肌馴染みも良く、漁網に用いられる編み方を採用したことで耐久性にも優れている。

漁網に用いられる編み方を採用したリードは耐久性にも優れている

ペットの家族化が進んだ今、購買客(親)が家族(子)のものをお気に入りのセレクトショップで見繕うことと同様に、ペットオーナーがペットに与えるものを自分のライフスタイルに合うセレクトショップで選びたいと考えることは至極当然のことである。ライフスタイルの視点で考えられたペット用品は、セレクトショップへ訪れる「暮らし方にこだわりを持っている」ペットオーナーの目に止まるだろう。

ベーシックでナチュラルなカラーはファッションや生活にも溶け込みやすい

インテリアの中で「映える」ペット雑貨

カリフォルニアのブランドJax and Bones(ジャックス・アンド・ボーンズ)が手がけるGood Karma(グッド・カルマ)ロープドッグトイは、まさにセレクトショップ向きである。様々な動物をモチーフにした可愛らしいデザインのほか、サボテン・ロブスター・宇宙人といった少し変なキャラクターがあるのも面白い。

アメリカでの一番人気はロブスターだそうだ。最近NYの有名ブランドからもロブスター型のバッグが発売されたり、人気の北欧雑貨店でも甲殻類柄の雑貨が展開されたり、ロブスターモチーフが注目されている。日本でもここ数年深海生物が人気を博しているが、見た目のインパクトと可愛らしさが絶妙なバランスの“キモカワ”というジャンルが世界的に広がっているのかもしれない。

パンダやアヒル、カエルにタコなど、さまざまな動物のモチーフがデザインされている

話を戻そう。グッド・カルマロープドッグトイは、100%天然の染料(野菜)が使用されているという安全性、ロープの繊維がデンタルフロスの役割を果たしてくれるという実用性も兼ね備える。

また、売り上げの10%は捨てられた動物の保護や虐待をなくすために活動する非営利団体へ寄付される仕組みだ。これは、信頼・安心できるモノ・生産背景に環境配慮やストーリーのあるモノを選びたいと考えるペットオーナーに訴求できるだろう。それだけでなく、インテリアに映える鮮やかな色と個性豊かなフォルムはインテリア雑貨の位置付けで多くの顧客に訴求できるのではないだろうか。

大型犬でも使えるビッグサイズのロープトイは日本ではあまり種類がないという点もこの商品の強みである 。

売り上げの10%は捨てられた動物の保護や虐待をなくすために活動する非営利団体へ寄付される

ペットと過ごすインテリアの新しい捉え方

犬猫共に平均寿命は15年前後である。その年数は、子供が成人する年数と比べて考えてみてもオーナーにとって「ペットは家族」というのは当然のことだ。

インテリアブランドSIEVEがプロデュースするペット家具+pet(プラスペット)は、ペットと飼い主が同じ目線で生活ができる、まさに家族同然に考えられた商品だ。

ペットオーナー自身の使い心地、空間でのデザイン性はそのままに、汚れや引っかき傷に強いペット対応生地を使用したソファーとキャットタワーは、愛猫家である開発者の父の声から生まれた。今回は参考出品だが展示会来場者の声をもとに今後展開をしていく予定だそうだ。

愛猫家である開発者の父の声から生まれたソファーとキャットタワー

インテリアブランドSIEVEのような取り組みは、ペットオーナーの潜在ニーズを探り、ペット商材とインテリア商材の垣根をなくした新たな需要と顧客を生み出していく可能性がある。今後もこの取り組みに注目していきたい。

ペット商材の効果的なディスプレイのポイントとは?

セレクトショップが販売すべきペット用品は、単なる消耗品でない付加価値のついた商品だ。「暮らし方にこだわりを持っている」ペットオーナーには、商品のコンセプトをしっかりと伝えられるPR文・販促物を商品とともに設置するのが効果的だろう。

また、ペットの誕生日プレゼントなど、ギフト購入を狙うならばラッピング例を展示するのもいい。数点まとめたギフトセットを用意すれば購買点数と売り上げアップにも繋げられる。

ロープトイのような非ペットオーナーにも訴求できるものは、ソファー、クッションなどのインテリア商材と合わせて展示したり、キッズルームを連想させる衣服と合わせたりすることもできる。

ベビー・キッズラインがセレクトショップで欠かせない売り場へと成長を遂げたように、これから新たにペットという売り場も、セレクトショップにとって大きな役割を果たすだろう。ペット用品の販売にも顧客のライフスタイルに寄り添った売り場づくりが重要だ。

掲載ブランド紹介

メルクロス株式会社
インテリアユニット

時代に沿って刻々と変化するトレンド。その流れからこれぞと思う感性を読み取って自社デザインで製品化、インテリア専門店や家具店に販売するほか、海外ブランドの輸入・取り扱いも行う。

取り扱いブランド: KNOT 、Jax and Bones 、TOOLS FOR THE DOG

公式ホームページはこちら
https://tools-for-the-dog.com/


シーヴ(SIEVE)

正しい選択 – 普遍と斬新のバランス – 手が届く豊かな生活をコンセプトに掲げたインテリアブランド。

主なアイテム: 家具、ソファー、テーブル、チェア、収納家具や、傘立て、時計など

公式ホームページはこちら
https://www.sieve.jp/

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