Contents

脇木工の内装事業ブランド「RIVER GATE」

「今後は私たちの強みである家具を起点にした住宅を作っていきたいです。既に別ブランド『RIVER GATE (リバーゲート)』では、家具屋が考える内装事業部として事業を展開しています」――株式会社脇木工への取材「MOMO NATURALのぬくもり」から約2ヶ月。我々は同社が展開する内装事業ブランドであるRIVER GATEを取材した。

取材班が向かった先は、東京・自由が丘にある完全予約制のショールーム「LEAD ME HOME by RIVER GATE」。2013年からブランドショップとして運営されてきたこの場所が、ショールームとしてリスタートしたのは2022年3月のこと。まだ新しい店内で取材機会を頂戴できた。お話をしてくださったのはブランドマネージャーを務める川口大器 (カワグチ タイキ) 氏。

株式会社 脇木工
岡山県に構える自社工場にて家具の製造を行う1953年創業の家具メーカー。創業時のコンセプトは「1000人の人に買ってもらえる家具よりも一人の人が本当に喜んで長く使ってもらえる家具づくり」。内装事業を担うブランド「RIVER GATE (リバーゲート)」では、内装のインテリアデザインやオーダーメイドキッチンを提案。都内を中心に全国で住宅リノベーションや店舗デザインを手掛ける。また、直営店舗として「MOMO NATURAL  (モモ ナチュラル)」、キッズラインの「PIENI KOTI (ピエニ コティ)」を展開。2018年にはインテリアファブリックブランド「tuulen tuurella  (トゥーレン トゥーリラ)」をスタートした。

家具視点での空間作り

RIVER GATEについて教えてください

− 川口氏コメント:2010年にスタートした内装のインテリアデザインを行うブランドです。設計から施工までをワンストップで管理しており、個人邸を中心にオフィス・アパレルショップなどの商業空間も手掛けています。RIVER GATEというブランド名には、2つの陸をつなげる海門のように「お客さまと理想をつなげてカタチにする」という意味があり、川から海へ広がるさまから、“手に取るものから広がるその先へ”という造語です。

RIVER GATE (リバーゲート)
https://www.river-gate.jp/
家具屋である「MOMO NATURAL」から生まれた内装事業部。空間のリフォーム、オーダーキッチン、家具製作までトータルでプロデュースを行い、住空間だけでなく、アパレルショップなどの商業空間の内装デザインやマンション、モデルルームのプロデュース・スタイリングも手掛ける。東京・自由が丘にあるショールーム「LEAD ME HOME by RIVER GATE」では、オーダーメイドキッチンやオリジナルファニチャーを多数展示しており、RIVER GATEならではの空間を体感できる。また、撮影スタジオとしても利用可能。

− 川口氏コメント:立ち上げのきっかけは、「MOMO NATURAL (モモ ナチュラル)」が成長するなかで、家具やその空間に対してのノウハウが溜まったことです。自社工場を持ち家具を造っていること、販売スタッフ全員が正社員で長く家具やインテリアコーディネートと向き合っていること、またカタログなどの広告物もインハウスで制作していること、これら全ての相乗効果により、「家具をより魅力的に見せるための空間作り」が我々の強みとなっていました。

その強みを活かして、オリジナルの建材やマテリアルを作りながら、当社の世界観を空間全体で表現できるセクションとして生まれたのがRIVER GATEです。通常は空間の設えを決めてから家具を決めることが一般的な内装計画だと思うのですが、RIVER GATEでは家具の視点から空間を作っていきます。

「この家具をこのレイアウトで配置したい」「この家具を置くには、動線をどのようにとったらよいか」など、家具をベースに壁や柱の位置などを決めるんです。家具の配置から逆算をして内装を作ることで、動線設計なども取り入れやすく、より生活に近い視点から内装デザインができます。

例えば、ソファでくつろぐことが多い人なのか、ダイニングで過ごす人が多い人なのかで、空間作りのポイントも変わってきますよね。RIVER GATEでは決められた枠のなかで家具をどうレイアウトするかより、お客さまのライフスタイルを聞き出し、その生活様式に合った家具やレイアウトを前提として内装を作ることに重きをおいているんです。そこがRIVER GATEならではの特徴だと思っています。

全てをオリジナルで造れる強み

川口氏にとってRIVER GATEとは?

− 川口氏コメント:すごく可能性を感じています。脇木工という母体があるので安定したモノづくりの環境と、これまで培ってきたブランディングのノウハウを持っていながら、まだ新しいブランドでもあるのでフレキシブルな動きもできる。その“自由度”が魅力だと思います。

おすすめの商材や事例を教えてください

− 川口氏コメント:オーダーキッチンです。今まで箱物家具に向き合ってきた歴史があるからこそ、木の使い方や細部のおさまり、一つの“家具”としてのバランスなど、細かな工夫がいろんな部分に詰まっています。機能的な部分は求めながら、天然素材をふんだんに使ったオーダーキッチンは、他社にはないと自信を持って言えますね。ぜひ実際に木に触れながら見ていただきたいです。

無垢の木を使った贅沢なキッチン

− 川口氏コメント:RIVER GATEでは、建具、タイル、壁紙などの建材を既製品のなかから選ぶのではなく、オリジナルで造れるところも強みですね。お客さまが望む空間を作るためのベストなモノがないからといって諦めたり、あるモノのなかで妥協したりする必要がありません。必要な建材は造れる母体があるので、とことん突き詰めた空間作りができます。お客さまにもそういった“唯一無二”なモノをRIVER GATEに求めにきてほしいですね。

壁面収納一つとっても、当社の家具のテーマである「Simple & Natural」を体現するために、シンプルだからこそ際立つ細かいフォルムの工夫一つにも、職人の技術が詰め込まれています。

シャープに見せながら強度な構造を実現

RIVER GATEを社内外で誇れるブランドに

最後に今後の展望をお聞かせください

− 川口氏コメント:MOMO NATURALが25年という歳月をかけて成長し、社員みんなから愛されているように、RIVER GATEを対外的にだけでなく社内でもより誇れるブランドに育てていきたいですね。社内のみんなが「こんな魅力的な事業をやっている会社で働いているんだ」と思えるような、いい刺激を与えるブランドにしていきたいと思っています。

MOMO NATURALがBtoCメインの家具ブランドであるのに対して、RIVER GATEはBtoBも行える内装事業部です。若手の社員のキャリアアップの先として、また、ライフステージに合わせたキャリアチェンジの先として、RIVER GATEもその目標の一つとなるようなブランドにしていきたいですね。

そういった意味では、内装事業と並行して再び小売をオープンしても面白いかもしれません。内装事業部ならではの商品セレクトができると思いますし、スタイルの違うショップを作ることは、接客するスタッフにとっても新鮮な機会や成長する場所になると思います。

インタビューにお答えいただき、ありがとうございました。

同じ未来を目指して

国内外にさまざまなファニチャーブランドが存在するなか、建具や内装材などの建材からキッチンなどの設備までも造ってしまう、いや、造れるブランドはそうないだろう。70年もの間、モノづくりを続けてきた同社だからこそ確実に、そして着実にカタチにできている事業だといえる。

MOMO NATURALのぬくもり」で鰐川氏が口にしたように、川口氏もまた『家具屋が提案する住宅』を夢に掲げていた。携わる事業が異なっていたとしても、社員一人ひとり見つめる未来が同じであることに、会社としての強い団結力が見受けられる。

また、川口氏の描く将来を伺ったとき、数字としての利益や社外への影響力よりもまず先に、「社内のスタッフへの想い」が出てきたことに同社らしさを感じた。どこまでもあたたかく“家族”想いな社風に羨ましさすら憶える。

新たな事業の展開は、もちろん消費者のためであるが、同時に会社で働く社員のためにもなるということを改めて教えられた取材だった。インテリア業界を含むライフスタイル業界は、比較的女性が多く働く業界だ。新規事業を展開することが社員の働き方の選択肢を広げること、ライフステージの変化のサポートとなることを押さえておきたい。

長く存続する企業として、その在り方、戦略、そこへ挑戦する姿勢、多くのことを教えてくれる同社の姿を今後も追い続ける。

Recommend