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節電しつつ快適に暮ら

2022年は、日本各地で史上最短での梅雨明けを迎えた。6月から早くも猛暑日が続くなか、実店舗を構えるセレクトショップは消費者の来店を促すために、何を目玉とするかを考えておきたいところではないだろうか。というのも、昨年までと比べて外出への規制が緩和された2022年の夏は、消費者の外出率が大きく上昇すると予想されているからである。

全国の20~30代の働く独身女性500名を対象とした意識調査 (出典:お出かけに関する調査) では、「2022年の夏は積極的に出かけたいと思いますか」という質問に対し、意欲的な回答は全体の61.8%にのぼった。

2020年4月を始めとした度重なる緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の発令によって、店舗の営業や売上に大きな打撃を受けた実店舗にとって、外出率が増えるとなれば一人でも多くの足を自店に向けてもらいたいところだろう。集客の要となる商品を導入する際に、今年の夏がどのようなシーズンになるのかを抑えておきたい。

MMD TIMESでは二つの特徴に注目をした。一つは猛暑である。その原因となるのがラニーニャ現象だ。ラニーニャ現象とは西太平洋熱帯域の海面水温が上昇し、積乱雲の活動が活発になるというもので、その影響は日本にもおよび、夏季は太平洋高気圧が北に張り出しやすくなり、気温が高くなる傾向にあるという。この現象は昨年秋から続いており、夏にかけても続く可能性が高いといわれている。

そしてもう一つが節電要請だ。10年に一度の猛暑を想定した需要に対し、安定供給に最低限必要な電力需給予備率3%を上回ってはいるものの、7月の東北、東京、中部エリアは予備率3.1%と非常に厳しい見通しとなっている。

コロナショックをきっかけとする行動様式やライフスタイルの変化は、消費者に「家の中で快適に過ごすこと」を重視させた。すなわち外出自粛やリモートワークの導入によっておうち時間が増えたことは、同時に各家庭での電力使用量を大きく増加させる要因にもなった。

さらには2022年2月、ロシアのウクライナ侵攻によりエネルギー情勢が一変した。国際資源市場における需給ひっ迫によって、燃料の安定調達を確保できないリスクの高まりもエネルギー価格の高騰に大きく影響しているようだ。

このような状況下から節電要請が発せられているにも拘わらず、年々、夏季 (6月~8月) の気温は上昇し続けており、近年では室内熱中症の危険性も周知されている。電力需給ひっ迫に直面する恐れがあることから、消費者は節電を意識しながら夏の暑さをしのがなければならない。

そこでライフスタイルを提案するセレクトショップが、「暑さを和らげつつも節電にも繋げられるアイテム」を提案していくことで、節電要請に対して有効な働きかけとなるのではないだろうか。今回は「空調設備と併用することで空調の効率を上げ、結果的に節電にも繋げられるアイテム」を紹介していきたい。

さまざまなライフスタイルに適用できるよう、異なる特徴を持つアイテムをピックアップする。展開方法も交えて紹介するので、導入の際は参考にしてみてほしい。

照明と組み合わせた「CIRCULIGHT」

風と光の融合をコンセプトにサーキュレーターと照明器具を融合させたのが、株式会社ドウシシャの「CIRCULIGHT (サーキュライト) シリーズ」である。同シリーズのなかから5月下旬に発売された「CIRCULIGHT EZシリーズ スイングモデル」を紹介する。

その特長は本体中央の羽根にあり、同社が販売するリビング扇風機「Kamomefan (カモメファン)」と同じ形状の羽根を使用している。負荷を極力抑えて効率的に大陸を移動するカモメの羽の形状を、バイオミミクリー (生体模倣学) により落とし込んで作られたファンが、空気を大きなかたまりとして継続的に送り出すことを可能にした。

コンパクトながら遠くまで届く風が個室はもちろん、リビングやダイニングといった広い空間であっても循環に有効な風を生み出し続けられる。

サーキュレーターを囲むように取り付けられたLEDシーリングライトは、サーキュレーターをスイングさせても光が遮られることは無く、しっかりと室内を照らし出せる。5段階の調色が可能で室内の雰囲気にも合わせやすいため、自宅での仕事や勉強、夕食の団らん、就寝前のリラックスタイムなど、用途に合わせて色合いを変えられ、より快適なひと時となる。

紹介方法としては二つの切り口がある。まず体感を伴う販売として売場では照明コーナーで基本的な調色、調光機能を体験してもらうだけでなく、「1台で光と風とを十分に空間に満たすことができる」と接客のなかで伝えていくのが有効だろう。

二つめに、シーズンに合わせた展開がある。同商品は従前のシリーズ商品と比べ、設置が簡単になったことで賃貸物件での取付に対する精神的ハードルが下がったのもセールスポイントとなる。8月には長期休暇、9月には人事異動や転職での引越しシーズンが待っていることを踏まえて、ライフスタイルのなかに節電への意識を一層浸透させるために、新たな暮らしを始める際のマストアイテムとして紹介するのも一つの手だ。

狙ったポイントの空気循環を促す「DUCT RAIL FAN DC plus Φ50」

ライフスタイルブランドである「BRID (ブリッド)」からは、「DUCT RAIL FAN DC plus Φ50 (ダクトレールファン ディーシープラス)」を紹介する。照明用ダクトレールに取り付けるだけで3枚のファンが回り、簡単に空気循環を促すことができるDUCT RAIL FANシリーズの最新モデルとなる。

DUCT RAIL FAN DC plus Φ50は、空間に対して狙ったポイントの空気循環を促すことができる首部分の可動仕様、ファンの回転方向の切り替え仕様が最大の特長だ。空気は冷たいと床にたまり、暖かいと天井付近にたまりやすい。

同商品では、ファンを半時計回りにして床の冷気を巻き上げ、時計回りで天井にたまる暖気を下へと広げ、より効果的に空気の攪拌を行えるため、ムラのない空間温度になるよう働きかけ、空調機器の無駄な使用を抑えることへと繋がる。

半時計回りの回転で冷気を上に巻き上げる

シンプルなカラー展開とコンパクトな本体は、インテリアにも馴染みやすく、どの売場にもあわせやすい。

例えばグリーンコーナーに置いてみるのはいかがだろう。複数台設置して使ってもサイズ感やデザイン上、頭上を圧迫することが無く、複数台での同時稼働も可能だ。より大きな空気の流れを生み出し、グリーンを育てるうえで必要な風をしっかりと届けることができる。

巣ごもり需要によってグリーンを生活に取り入れた人々に対しても魅力的な提案となるだろう。

空間除菌もできる「STREAM 1800」

消費者の住環境によっては照明用ダクトレールがなかったり、引掛けシーリングの余分がないということもあるだろう。空気循環系アイテムは頭上に取り付けるものだけではない。コンセントがあればいつでも手軽に導入できるものとして、株式会社カドーの「STREAM (ストリーム) 1800」を紹介したい。

空調機器だけでは室内の温度を快適に保ちにくく、オンオフを繰り返してしまうこともあるだろう。電源のオンオフを繰り返すことは電気使用量増加の一因となる。空調機器と同商品を併用することで、空調効率を高めつつも無駄な使用を抑えて節電へと繋げることができる。

同商品の特長は、触媒フィルターとオゾン生成ユニットを搭載しているため、心地よい風を送るだけではなく、除菌性能も備えていることにある。人体に無害とされる低濃度のオゾンを空間に放出することで、5時間で99.99%以上の空間除菌を実現したという。それにより、気になる生活臭の分解・脱臭を同時に行うこともできるため、ペットのニオイやゴミ臭などニオイの気になる空間に置くことで、空気循環と同時にニオイ対策も行える。

置き場所を選ばないミニマルな本体ながら、1台で32畳分の広さでも確実に風を届けられる高い拡散力による送風は、雑菌が増えがちな洗濯物の部屋干しに対しても有効に働きかけられるという。乾燥機や空気清浄機など、用途に合わせて家電を買い足さずとも、空気循環と一緒にこれらの作用を可能にしているのが同商品の魅力といえる。

よって、ランドリールームやバスルームといった湿気がこもりがちで風通しを必要とし、清潔さを維持したい空間での使用をイメージさせる売場展開が効果的であろう。運べるうえに直感で操作しやすいため、除菌が気になる高齢者や赤ちゃんのいる家庭へのプレゼント需要にも対応できる。どこでも使いやすいことを接客で伝えるのも有効だ。

実店舗ならではの節電提案

今夏の節電要請は、厳寒が訪れると予想された2015年冬以来、実に7年ぶりに数値目標を定められないレベルとなっており、電力需給のひっ迫は非常に厳しい見通しであることが分かる。

今回紹介した、快適に過ごしながらも節電へと繋げられる空気循環系アイテムは、こうした状況下で使用するのに向いているだろう。コロナ禍を機に換気に対する意識向上もあってか、同様のアイテムの種類は豊富になり、オンラインショップでの取り扱いも増加した。

一方で、巣ごもり需要の高まりこそあれど、全てがオンラインショップでの購入とまで至らず、作動時の静音性やサイズ感など、実物を見てから購入の判断をしたいと考える消費者も多い。

家電量販店に行けば種類が富んだ商品展開を目にできるが、暮らしにまつわるアイテムを取りそろえるライフスタイルショップだからこそ、空気循環系アイテムを取り巻く空間や環境も同時に見せることで具体的な生活イメージを提供できる。

商品情報からだけではくみ取れない部分をカバーし、多様なシーン提案ができるのはセレクトショップ、かつ実店舗ならではの強みといえる。オンラインショップを通した需要の喚起に対して、実店舗での体感、シーン提案は有効だろう。

長らく苦戦を強いられてきた実店舗だが、外出規制が緩和された今、来る猛暑と人出増加が勢いを盛り返すチャンスと捉えてみてほしい。必要に迫られて行う義務的な節電ではなく、日々の暮らしのなかに自然に溶け込んだアプローチで、消費者がこれまで以上に快適なライフスタイルを送れるように働きかけていくきっかけとなることを願っている。

掲載企業・ブランド一覧

株式会社ドウシシャ

大阪府と東京都に本社を置くPB商品の企画・開発・販売、NB商品の仕入・販売、小売支援サービスを中心とした「流通サービス業」を営む。「いつも生活の一部にある存在でありたい」という想いから『あっ、ここにもドウシシャ!』をキャッチコピーとする。

取り扱いアイテム:ライフスタイル雑貨、生活家電、インテリア、時計など

公式ホームページはこちら
https://www.doshisha.co.jp/


BRID (ブリッド)

メルクロス株式会社が展開するライフスタイルブランド。「プロダクトからコンセプト (概念 / 価値) を変えていくライフスタイルブランド」であることを掲げ、普段の暮らしを楽しむこと、日常に変化を与えられるモノなど、日々の生活に新しいデザインや遊び心を加え、新しいコンセプトを発信する。

取り扱いアイテム:照明、ラグ、インテリア、ベビー用品など

公式ホームページはこちら
https://www.brid.tokyo/


cado (カドー)

株式会社カドーは「We design for atmosphere. (空気をデザインする)」をコンセプトに、“美しい空気”と“心地よい空気感”を創出するブランド。「圧倒的な技術力」とそれを活かす「美しいかたち」、この両軸を備えるため、こだわりのあるモノづくりを大切にしている。

取り扱いアイテム:空気清浄機、加湿器、除湿器、アロマディフューザーなど

お問い合わせはこちら
https://cado.com/

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