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ボディケアアイテムの売り方

今年の夏至も過ぎ、これから夏本番になろうとしている。セレクトショップで夏の売場について考えたとき、手堅く売上が見込めるカテゴリは去年に引き続きアウトドアアイテムであろう。「アウトドアブームの行方2022」で取り上げたように、長らく続くブームによって、ユーザーの趣味嗜好が多様化し細分化してきている。そのため、売場作りにおいても細かいニーズを汲み取った提案が求められる。

一方、春夏に売上が落ち込むカテゴリの一つにボディケアアイテムが挙げられる。冬場は乾燥対策や温活などで需要が高まる反面、夏場のケアイメージについてはまだまだ浸透していない。多くのセレクトショップやメーカーが、販売促進に毎年知恵を絞り出していることだろう。

今回は、そのボディケアというカテゴリを深掘りするため、ボディケア商品を扱うブランドへ取材を行い、春夏における販売のポイントを伺った。新たな使用機会や使用動機を表に出すことで、消費者の潜在的ニーズにヒットする売場が作れないだろうか。ぜひ参考にしてみてほしい。

新たなターゲット層の設定と知識の追究

「おうち時間」という言葉が過去のものとなりつつあり、そしてそれが当たり前の時間として我々のライフスタイルに定着してきた昨今。その変化はボディケアアイテムにも及んでいる。ボディケアアイテムを含む生活雑貨・健康器具の卸を行う「株式会社リーブコーポレーション」によると、コロナショック後は入浴剤の売上が一年を通して好調だという。

なんでも自分へのご褒美としてはもちろん、バブルバスなどをお子さまとのバスタイム用に購入するファミリー需要も増えているそう。「ボディケア」と聞くと、一般的に女性をイメージしがちだが、女性だけでなく男性やファミリー層などターゲットは広がっており、その設定が売場を作るうえで重要となってくることがわかる。

同社が展開する商品では、「安眠アイテム」として死海の深層水から作られた天然塩の入浴剤「デッドシーバスソルト」が好評だという。タイプは4種類あり、使いやすい無香料の他に、ローズ・ラベンダー・ジャスミンと3つのアロマタイプに分かれる。100%天然由来成分、合成着色料、保存料、香料不使用に加えて、アロマタイプは天然の精油とハーブが配合され自然な香りと潤いでバスタイムが楽しめる。就寝前の時間を楽しむ癒しアイテムとして売場に彩りを与えているようだ。

「デッドシーバスソルト」

このように「就寝前のリラックスアイテム」や「ご家族とのコミュニケーションツール」、「気分爽快リフレッシュグッズ」など、今ニーズが高いと思われる使用シーンや求められている使用感を共通項として、他ジャンルのアイテムと合わせて売場を構成することで季節感問わずボディケアグッズが売場へと展開される機会を作り出せるだろう。

商品の特徴を活かしたプロモーションを

続いても入浴剤を紹介したい。「株式会社SCOPEDOG236 (スコープドッグ236)」から展開されるブランド「THE (ザ)」の「アロマバスボム&バスパウダー」だ。炭酸バスボムとアロマバスパウダーを同時に使用するセット売りになっている。血行促進を促す炭酸バスボムと、お湯にとろみと香りをつけるアロマバスパウダー、それぞれの作用を取り入れた商品で、見た目の鮮やかさもこの商品ならではの特徴だ。

販売促進の取り組みとして、販売店に対して必ず展示用のサンプルを付けているという。ビジュアルで消費者を惹きつける売場作りが効果的だ。同商品はセット売りということもあり、入浴剤としては高価格帯であるにも関わらず、売上は好調とのこと。見た目の華やかさから自身へのご褒美としてはもちろん、プチギフトとしての単価、見た目、ボリュームをしっかり押さえている点も功を奏しているポイントといえる。

他にも同社では、薬用炭酸タブレット「炭酸源®️」を展開しており、同商品はトレーニングなどのスポーツ後のボディリカバリーを謳い、販売促進を行っている。

炭酸源®️

また、「炭酸ボディコンディショニング入浴」と称して、暑い夏の日から寒い冬の日に適した入り方や入浴温度を示すなど、どの季節にも快適に効果的に使用できるシーン提供があることも参考にしたいポイントだ。

ファンを作って愛用されるブランドに

一年を通して売上を持続し、商品展開するためには、季節に左右されない効能以外の付加価値に焦点を置くのも一つの手段である。「有限会社三和トレーディング」は、「女性を綺麗に、地球に優しく」をコンセプトに商品を展開。“地球に優しい”という付加価値があるブランド商品を訴求することで、季節を限定する必要が薄れるという。

また、これらの商品を展開する販売店にも注目しているとのこと。バラエティショップなどの大型量販店では売場が常に変更され、季節商材をメインとした構成となるのが特徴だ。ボディケアであれば、春夏は日焼け止めや冷却アイテムが拡大し、その分ハンドクリームや保湿アイテム、バスグッズは縮小されるだろう。

一方、セレクトショップを中心とするライフスタイルショップでは、量販店ほどの大きな構成変更がなく、一定のブランドシリーズが常時展開されていることが多い。また、顧客もそれを理解しており、愛用するブランドのケアアイテムを、季節を問わずリピート購入する傾向にある。

そんななか同社が紹介するブランド商品が、「Urban Rituelle (アーバンリチュエル)」の「ALCHEMY (アルケミー)」シリーズ。同ブランドの創業20周年を記念して作られた本シリーズは、ブランドの集大成となる。配合成分をはじめ、パッケージから梱包資材まで全てがオーストラリア製だ。

コロナ禍による手洗い・うがい習慣の徹底、アルコール消毒の頻繁な使用もあり、手の保湿が欠かせなくなっている近年、ハンドクリームも多くの新商品が販売されているのが現状だ。そのなかで同ブランドの特徴は、通常ならハンドクリームをクリーム状にするために水を使うところを、水の代わりにアロエジュースを使用するという贅沢な試みである。

こうしたブランドとしての矜持や、製品へのこだわりを消費者へ伝えることで、ブランドのファンになってもらい、時節柄の一時的な利用ではなく、通年で愛用してもらうことが狙いだ。

ライフスタイル業界が作るボディケアのトレンド

今回は、入浴剤とハンドクリームというコロナ禍の需要で売上が安定しつつあるアイテムを紹介したが、ボディケアといえば、オイルやミルクなど、他にもさまざまな商品がある。これらについても同様に、「ターゲット・使用シーンの具体化」「効果・効能についての知識」「ブランドとしての付加価値」を考えてみることで、季節に影響されない販売手法が見えてくるのではないか。

また、季節に影響されないアプローチを考えるのも一つの手段ではあるが、夏場ならではの訴求方法を検討することも手段の一つである。

夏場のケアについては、冒頭にも述べた通り冬ほどの認知がされていない。夏特有の事項、日焼け後の肌のケアや、エアコンによる乾燥対策などの打ち出しを強化することはできそうだ。

さらにはトレンドと掛け合わせた提案も試みたい。コロナ禍でのアルコールによるハンドケア、マスク荒れによるスキンケアなどの需要も、今後しばらくは続くだろう。他方、レジャーやアクティビティとの抱き合わせにも可能性はある。アウトドアブームをきっかけに、野外でのケアグッズの展開や、帰宅後のケア提案を行なってみるのも面白いだろう。

「夏場のボディケア」と耳にして、ピンとこない今だからこそ、まだそこに開かれていない道があることがわかる。化粧品業界が作り出すトレンドをキャッチすることも大切だが、自ら生み出すことも可能なのではないか。「コスメを扱うセレクトショップの強み」でも伝えたように、さまざまな商品やシーンを組み合わせて売場を構成していけるのは、セレクトショップならではの強みである。

ボディケアについても、コスメ同様にライフスタイル業界目線の提案やトレンドを発信していくことが重要だ。ボディケアの新たな常識やトレンドが、セレクトショップや“ライフスタイル業界発”だと紹介できる日もそう遠くないだろう。

掲載企業一覧

株式会社リーブコーポレーション

お客さまのために「旬を生み、旬を提案する。」をコンセプトに生活雑貨から健康器具、アパレルまで幅広く提案。いつの時代においても、期待される企業であるため、たくさんの「ワクワク・ドキドキ」を届ける。

取り扱いアイテム:生活雑貨、健康器具、アパレルなど

公式ホームページはこちら
https://lieb.co.jp/


株式会社SCOPEDOG236 (スコープドッグ236)

実際に見てきたモノ、感じてきたコトからインスピレーションを受け、出会ってきた職人の人々の手によってプロダクトを製作し、完成したプロダクトを実際に使用して、改善を重ね続けている企業。

取り扱いアイテム:入浴剤、アパレル、バッグなど

公式ホームページはこちら
https://scopedog236.com/


有限会社三和トレーディング

世界中より選び出した心、躰、地球に優しい素敵な商品を通じて、お客さまに喜びと感動を与え、満足につなげていく企業。「日本人のライフスタイルを心地よく、豊かにしたい」という思いから、アロマ&フレグランス、ボディケア、バスコスメティックスを中心に商品提案を行う。事業を通じ、社会に貢献できる企業であることが目標。

取り扱いアイテム:アロマ&フレグランス、ボディケア、パスコスメディックスなど

公式ホームページはこちら
http://www.sanwatradinginc.co.jp/

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