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ベイフローのブランドとしてのあり方

日常やビジネスシーンにおいて、何かをスタートさせる時に必ず踏む「初対面」というファーストステップ。この段階では、まず自分の情報を伝え、相手の情報をキャッチするという最初のモーションが必要不可欠である。

しかし、短時間で自分の掲げるテーマを説明したり、相手の目的を理解したりすることはなかなか難しい。では一体どのようにすればスムーズに伝達できるのだろうか。

その手段の一つに「五感に訴えかける」というものがある。“見る”という視覚を使うならば「身につけるもの全てが一つの主張」という考え方もできる。つまり身に着けるものがその人の伝えたいメッセージを代弁してくれるのだ。

例えば、キャラクターものを身につけることで相手には「そのキャラクターが好きな人」、または「そのキャラクターに関するビジネスをしている人」など、視覚的な方法で印象や情報を与えることができる。

このように身に着けたり所持したりするブランドは、その人のアイデンティティなど、よりスピーディーに印象づける手助けとなるのではないだろうか。つまり身に着けるモノを通じて自分を伝え、また相手を知ることができるのだ。

そうなると、どのブランドを選ぶかということが自分を表現する上での要となってくる。

今回MMD TIMESは、ユーザーのアイデンティティを大切にしたブランディングを行い、多くの支持を集めている株式会社アダストリアが展開する「BAYFLOW (ベイフロー) 」に取材を行なった。

話を伺ったのは、ベイフローで営業部のマネジャーを務めるMDの柳川千夏 (ヤナガワ チナツ) 氏。スタイリッシュな大人のライフスタイルを展開しているベイフローが、自己表現を目指すユーザーから選ばれ続けるブランドとして、大切にしていることは何なのか、そのヒントを見つける。

株式会社アダストリア
https://www.adastria.co.jp/
「グローバルワーク」、「ニコアンド」、「ローリーズファーム」など、グループで30を超えるブランドを国内外で約1,400店舗を展開するカジュアルファッション専門店チェーン。創業から一貫してお客さまに“ワクワク”を提供することを目指し、人々の心を豊かにし幸せにする「Play fashion!」という変わらないミッションを掲げる。多様化するライフスタイルに適応し、アパレルの枠を越え、食や住環境、カルチャー、アートなどあらゆるモノやコトの展開をしている。 
BAY FLOW (ベイフロー)
https://www.bayflow.jp/
「Respect nature, Respect fashion. (リスペクトネイチャー、リスペクトファッション) 」というフィロソフィを掲げ、自然とトレンドの二つの心地よさを感じられるような、健康的でスタイリッシュなライフスタイルを提案しているブランド。30~40代のゆとりのある大人をターゲットとした、上質なデイリーカジュアルウェアと生活雑貨を展開している。国内に57店舗と海外に1店舗を構えるライフスタイルショップ (2022年2月末現在) 。

セールに頼らない販売戦略

ベイフローとはどんなブランドですか?

− 柳川氏コメント:“Respect nature, Respect fashion (リスペクトネイチャー、リスペクトファッション)”をフィロソフィに掲げるブランドです。これは自然とファッションの両方の要素を織り交ぜ、モノだけでなくコトも含めて生活や心が豊かになるライフスタイルを提案していきたいという想いを表しています。

ターゲット層は30~40代の仕事とプライベートを充実させたい男女で、ONとOFFの時間を有効に使える「大人のゆとりある暮らし」をテーマにした商品展開です。

続いて柳川氏の業務についてお聞かせください

− 柳川氏コメント:生活雑貨のMDとして働いて8年目になります。以前は別のブランド「niko and … (ニコアンド) 」 で立ち上げから7年ほど、企画からMDまでを担当していました。そこでの経験を活かし、ベイフローの設立一周年の時にこちらに加わったんです。

今は同ブランドの商品企画、バイイング、PB商品の開発をメインに担当しています。

業務で大切にしていることは何ですか?

− 柳川氏コメント:最も大切にしていることは、ブランドのフィロソフィやテーマからは外れない提案をするということですね。それは、健康的でスタイリッシュなブランドのイメージを崩さないためです。

ベイフローのシンボルであるC旗 (船舶などに使われる国際信号機の一つ) の三色は、青は海、白は砂浜、赤は太陽をイメージし、Cの語感はsea (海) 、see (見る) 、she (彼女) の意味を含んでいるので、“海”というイメージからファンになってくださるお客さまが多くいらっしゃいます。

そのイメージを大切にしつつ、これからはもっとさまざまなフィールドの方達にも手にとっていただけるよう、ブランドのフィロソフィを軸に、新たな層にも刺さる企画を提案したいです。

海、砂浜、太陽をイメージしたベイフローのシンボル「C旗」

− 柳川氏コメント:また、お客さまを裏切らないモノづくりを心掛けています。例えば、プロパーで購入した商品が後日店頭でセールにかかっていると、ちょっとがっかりしますよね。そういった残念な気持ちにさせてしまわないよう、できる限りセールは行わないようにし、日頃から適正な価格で価値あるモノを提供するように努めています。

どのような商品がプロパーでも長く売れ続けていますか?

− 柳川氏コメント:5~6年前から毎年販売しているフリースのブランケットはロングセラー商品です。このフリース生地の両面プリントには特殊な技術が必要で、開発には多くの時間と労力を費やしてきました。

たっぷりとした大きさと心地よい素材が特徴のブランケット

− 柳川氏コメント:特長としては肌触りがよく、年毎に柄を少しずつ変えて発売しています。柄違いで揃える方も多くいらっしゃって、既にご購入されたお客さまでも毎年とても楽しみに待っていてくださるんですよ。価格もお手頃なので、販売開始から累計5万枚以上も売れている人気商品となっていますね。

ベイフローの商品企画基準

新商品の企画基準はありますか?

− 柳川氏コメント:基本的に「大人のゆとりある暮らし」というテーマがお客さまに伝わるよう商品企画をしています。今年3月から販売を開始した新シリーズの「HanaLoa (ハナロア) 」は、「ゆったりできるハワイのホテル」を題材とし、デザインは南国の葉をモチーフにしています。

リゾートホテルをイメージした「ハナロア」シリーズ (販売期間:2022年3月4日~4月12日)

− 柳川氏コメント:いずれのシリーズでも人気のアイテムはポーチなのですが、旅のお供としてはもちろん、家の中でもリゾート気分でくつろいで欲しいという思いから、今回は初めてルームウェアも展開しました。

旅先や家の中でくつろげる新アイテムのルームウェア

− 柳川氏コメント:このように「大人のゆとりある暮らし」をベースにシリーズ展開を行い、シリーズごとに統一した分かりやすい世界観を出すようにしています。

商品企画での悩みはありますか?

− 柳川氏コメント:売れているアイテムってどうしても偏ってしまうんですよね。例えばトートバッグが売れると、次回の新シリーズでもトートバッグを展開しようという傾向になりがちです。

お客さまにはいつも我々の商品から新鮮な発見と感動をしていただきたいと思っているので、テーマに沿う新たなアイテムをどんどん見つけていくことが今後の課題ですね。

ベイフローが思い描く未来

最近のライフスタイル業界について、何か課題と感じていることはありますか?

− 柳川氏コメント:近年はどうしても作り手や売り手がトレンドに対して保守的になってしまう傾向があります。衝撃的なアイテムは実際の売上には直結し難く、なかなか踏み込めないからではないでしょうか。

でも本当はそういった驚くようなアイテムにこそ発見と感動があると思うんです。これからも挑戦することを恐れず、みんなで一緒にライフスタイル業界を盛り上げていきたいですね。

ベイフローとしては今後どのような展開をされますか?

− 柳川氏コメント:今進めていることの一つに、食卓を囲んで家族みんなが楽しめるようなキッチンアイテムの企画があります。

今まではマグカップのような個人向けに販売していたキッチンアイテムを、これからは家族で揃えられるようなプレートやカトラリー系の商品へと拡大していく予定です。

家族みんなで揃えられる食器シリーズ

− 柳川氏コメント:また、より上質で大事に長く使ってもらえる商品を展開していきたいと思っています。ユーザーがベイフローの感動的な商品と出会い、その方の宝物となってくれたら何より嬉しいですね。

インタビューにお答えいただき、ありがとうございました。

ユーザーの個性を助けるブランドの力

身に着けるモノやインテリアは、その人のアイデンティティをやんわりと、かつ信憑性のある情報として伝えてくれる。

もし仮に統一性のないモノを身に着けてしまえば、相手を混乱させてしまい、初対面でのファーストステップである「自分の情報を伝え、相手の情報をキャッチする」プロセスで停滞し、その後の意思疎通がしづらくなってしまうだろう。

つまり、ユーザーが身に着けるアイテムを相手に自分を伝える手段としたとき、選び続けるブランドというのは根本のテーマに統一性があり、ブレていないブランドなのである。

柳川氏が語っていたように、ベイフローはブランドのフィロソフィとテーマから決して外れることなく新しいアイテムの幅を拡げており、所持する人の期待を裏切らない展開をしている。だからこそ安心と信頼がありユーザーから選ばれ続けているのだろう。

同ブランドのように、ブレない芯を持ちながら新しい商品を絶え間なく開発していくその先に、長く選ばれ続けるブランドの確立があるに違いない。

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