2021.04.20.tue

ギフトのセレクトショップ BIRTHDAY BAR

Contents

ギフトはコミュニケーションツール

買い物は必ずしも自分のためだけの行為ではない。時には大切な人を想ったり、特別な日を祝ったり、自分以外の誰かのためにモノを買うこともあるだろう。

誕生日や結婚祝い、母の日・父の日と、大切な人の人生の節目に祝福や感謝の気持ちを込めて、贈り手は自身の買い物とは違う視点でモノを探し、思いを巡らせる。買い手と使い手が異なるこの需要に寄り添った提案・接客は、ショップを運営するうえで欠かせない要素のひとつだ。

そこでMMD TIMESはギフトアイテムを専門に扱うセレクトショップ「BIRTHDAY BAR (バースデイ・バー) 」を取材した。

「私、誕生日が元日なんです。さらに姉はクリスマス生まれで。クリスマスと誕生日とお正月がまとめてくるので、プレゼントもケーキもおせちもお年玉もって、自分の誕生日が目立たないんですよ! だから何でもない日が特別になる誕生日への憧れというか執着がすごく強くて」。そう語るのは社内から“BOSS”の愛称で親しまれる株式会社マグスタイルの代表取締役を務める 菅沼志乃 (スガヌマ シノ) 氏。

同社は2004年にマガジンハウスが運営していたライフスタイルショップ「クロワッサンの店」を引き継ぐために設立され、その後、キッチン用品専門ショップ「croissant croissant (クロワッサン クロワッサン) 」、オリジナルブランド「CUiSiNE HABiTS (クイジーヌ・ハビッツ)」を展開し、事業を拡大してきた。

ライフスタイル業界において重要な“ギフトアイテム”。買い手と使い手が喜ぶギフトの本質とは何か、長年のショップ運営から築き上げた“贈り物用”という独自のスタイルとギフトに対する想いを伺った。

株式会社マグスタイル
http://www.palgroup.holdings/brand_type/magstyle/
「大切な人を想う、その気持ちによりそう」を企業理念に2004年に設立。ギフト商品を扱う「BIRTHDAY BAR (バースデイ・バー) 」、キッチン雑貨を扱う「CUiSiNE HABiTS (クイジーヌ・ハビッツ) 」の2つのセレクトショップと服飾雑貨ブランド「Actually (アクチュアリー) 」を展開。
BIRTHDAY BAR (バースデイ・バー) 
https://birthdaybar.jp/
「ギフトといえばバースデイ・バー」を掲げ、誕生日という「365日あるプレゼントのチャンス」をキーワードに、誕生日プレゼントをはじめ結婚祝いや出産祝いなどのギフト商品を扱うセレクトショップ。全国に店舗展開するほか、オンラインショップ・LINEギフトでの販売も行う。

ユニセックスなギフトショップ

バースデイ・バー立ち上げの経緯を教えてください

−菅沼氏コメント:会社が設立してから生活雑貨やキッチン用品、様々な業態の店舗で雑貨を扱ってきました。その中で「ギフトのある日は売上がいいよね」とたびたび社内で話題が挙がっていたんです。

その頃、Bar通いをしていたんですけど、誰かの誕生日だとシャンパンを開けてお祝いするんですよね。当たり前ですけど、365日毎日誰かの誕生日なんですね。「これだ!」って思いました。

ちょうど渋谷ヒカリエがオープンするということで出店のオファーを頂いていて、そのタイミングでギフトに特化したセレクトショップというコンセプトの「バースデイ・バー」を立ち上げました。

バースデイ・バーの特徴は?

− 菅沼氏コメント:「男女ともに入れる」ギフトのお店です。今でこそ少ないですが、雑貨屋さんというと女性に人気で、なんとなく男性が入りにくい雰囲気があると思うんですよ。女性が店内を見ている間、男性が外で待つ、そんな印象が頭に残っていたんですよね。

せっかく一緒に買い物に来ているんだから、夫婦やカップルでも一緒に楽しめるユニセックスなお店にしたいと思いました。

男性にも興味を持ってもらえて、老若男女が喜ぶ店を目指しているので、ユニセックスを意識した都会的な内装にこだわって、V Pとして映えるメンズライクな商品も取り扱うようにしています。

展示会での商品開拓は“熱量”を測る

取扱商品はどのように決まっていくのでしょう

− 菅沼氏コメント:最終的に採用された商品が店舗に並ぶかどうかは店舗ごとに違って、店長采配となっていますが、企画として会議に挙がるまでには3つのルートがあります。

ひとつは、お付き合いのあるメーカーさんからの新商品などの紹介。もうひとつは、店舗スタッフやお客様からのリクエスト。最後は、私を含めた商品部との展示会での新規開拓です。

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展示会での新規開拓時の決め手は?

− 菅沼氏コメント:いつも何かしら必要なモノはイメージして、展示会に臨んでいます。今であればコロナの影響もあって、EC向けの商材とかかな。

その中から決め手になるのは「メーカーさんの熱量」ですね。ギフトは大切なコミュニケーションツールなので、関わる人のやる気は大切だと思っています。

ギフトとして欲しいと思うモノ

商品選定の際に気にするポイントは?

− 菅沼氏コメント:ギフトを渡すお客様の「株が上がる商品」を繰り返し扱ってきました。そのためには受け手に喜んでもらうことが必要ですよね。高いから良い、他店で売れているから良いという判断基準ではなく、大前提として“ギフトとして”皆が欲しい!と思えるようなモノを選んでいます。

具体的には、パッケージが大きな要素のひとつです。コロナショックを受けて、試しに自家需要のアイテムを増やしたことがあるんですけど、“ザ・自家需要”はバースデイ・バーでは受け入れられにくいんですよね。

例え自家需要だとしても、ギフトとしても成立するようなパッケージの商品がうちでは売れますね。お客様の中に「ギフトとして渡せるちょっと良いモノを扱っている店」というイメージが定着していて、そういうモノを求めて来店されているんだと思います。

− 菅沼氏コメント:また、お客様が渡すときに「何かひとこと言えるモノ」を常に選定しているんです。機能だったり、デザインだったり、プレゼントの何が良くて贈ったのか、直接伝えられるモノがいいですね。そのギフトを通してコミュニケーションを取ることでお客様とお相手の方の関係性が良くなってほしいんです。

実際に店頭では、お客様が商品を購入する際に、商品の特徴がわかるよう全商品にショーカード (POP) を付けています。始まりは販売スタッフに向けて、このカードをきっかけにお客様と話してほしいという私からのメッセージなんですけどね。

ご自身で書かれているんですか!?

− 菅沼氏コメント:クロワッサンクロワッサンのお店をスタートした16年前から、ずっと私が書いています。もともと私はアパレル出身で、接客好きということもあって「接客する雑貨屋さん」をやりたいと考えていました。

雑貨屋ってアパレルに比べると接客をする頻度が少ないですよね。商品が多いので特に新人は接客と言われても何を話したらいいのかわからないみたいです。なので、このカードに書いてあることをきっかけに接客して欲しいなと思っています。

先ほどもお伝えしたように、ギフトは大切なコミュニケーションツールなので、スタッフが積極的に接客というコミュニケーションを取ることで、お客様に寄り添ってほしいと願っています。

思いやりとは想像力

他に社内に向けての取り組みはありますか

− 菅沼氏コメント:私の誕生日に対する強い想いもあって、本部ではスタッフ間で誕生日にギフトを贈る習慣があります。今はコロナの影響もあって気持ちも落ち込みがちな世の中ですが、「元気で明るく楽しく働く」をベースに社内環境を整えていきたいです。

それから、どんな立場の人でも発言がしやすい、コミュニケーションが活発な企業を目指しています。社員間の関係性を良くして、結果的に売上を伸ばしていけるといいですね。トップダウンで強制させるのでなく、現場の発言やアイデアに耳を傾け、その中から新しいカタチをつくっていける体制が理想です。

そのためには、年齢やキャリア関係なしに発言できる場や環境づくりが必要だと思っています。実際に社内では外部の講師を招いてコミュニケーション研修も行っていて、その研修を通してスタッフ一人一人が、お互いにどんな人間なのか理解し認め合って、敬意を払いつつも言いたいことを言えるようになっていってほしいです。

思いやりこそが本当のギフト

菅沼さんが大切にされていることは?

− 菅沼氏コメント:「思いやりとは想像力」という、とある方の言葉で私の中に響いた言葉。社訓にもしています。社員・スタッフに対しても、お客様に対しても、思いやりを持って相手の気持ちを想像して接してほしいという願いからです。そして、お客様が誰かを想う時に、私たちの提供するブランド・商品が寄り添えるようありたいですね。

ギフトって、大切な人を想うその気持ちが一番なんです。例えば、小さかった頃の母の日や父の日を思い出してみてください。お母さんお父さんがその時本当に欲しかったモノを渡せていたのか?と真剣に考えると疑問ですが、両親が喜ばないはずがありません。

渡す人が大切な人のことを想う気持ち、思いやりこそが本当のギフトなんです。誰かが大切な人への贈り物を検討する際に、バースデイ・バーに来店して、その人のことを想って商品を購入し、それを渡して喜んでいただける姿を日々想像して、これからも店舗運営を考えていきたいです。

インタビューにお答え頂き、ありがとうございました。

ギフトを提供するコト

店頭に並ぶ商品、それらはモノだけ見れば自分で買っても、人から貰ってもデザインや性能に変わりない均一なモノである。

しかし我々は、実際にギフトとして“それ”を手にしたとき、自分で購入する“それ”とは全く違うモノのように感じる。なぜなら、そこには“想い”があるからだ。

その機能や品質、色や形までもが無数にある選択肢の中から自分を想って選ばれたモノ。インターネットで情報を集めたり、時間を見つけて店舗に足を運んだり、ほんの数分で終了する会計までの間に、とても長い時間、想いが詰められてゆく。

コロナショックによって世の中の人々の“大切な人”への想いがより一層強まったように思う。菅沼氏によれば、コロナ以降一人当たりに掛けるギフト単価は増加傾向にあるそうだ。

人と人との繋がりを強めるギフトアイテムは、いかに顧客のことを思いやり、顧客が相手を思いやる気持ちを汲み取ることができるのか、そこが重要になってくるだろう。顧客の求めるアイテムの選定ももちろん重要だが、ギフトを贈る人の気持ちを共感できる力こそ一番求められるコトかもしれない。

株式会社マグスタイルでは、オリジナル商品の企画スタッフを募集している。詳細は以下のリンクから確認する事ができる。

株式会社マグスタイル
https://mobareki.com/company/mg/0

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