2021.02.23.tue

周辺アイテムで魅せるグリーンの魅力

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目的に応じたアイテムの選択

「“グリーンと人”が共存する空間デザイン」でも紹介したように、年々グリーン (植物) の楽しみ方は多様化し、暮らしのさまざまな場所で見られるようになった。

庭園や街並み、冠婚葬祭だけではなく、屋内や住まいを彩り愛でるモノとして我々の暮らしに溶け込んでいる。

そして2020年以降、グリーン業界は新型コロナウィルス (COVID-19) <以下コロナ>の影響を大きく受け、また新たなフェーズを迎えようとしている。

ウエディングをはじめ、入学式や卒業式、クリスマスやハロウィンなどのイベントが軒並み自粛・縮小となり、公共の場での需要が低迷。

「フラワーロス」という課題が浮上する一方、家庭内での需要は高まっている。

今回取材班は「第91回東京インターナショナルギフトショー」の「フラワー・グリーン&ガーデングッズフェア」にて、グリーン業界の動向とコロナ禍で生まれた商品や人気アイテムについて話を伺った。

コロナショックから1年経った業界の今とこれからを探っていく。

壁面を魅せるフラワー需要

実は一般家庭の花の消費はここ10年で減少傾向となっており、この現状を覆すための希望が花の巣篭もり消費だ。

実際に、これまで切り花の消費が少なかった20〜30代の女性が自宅に花を飾りはじめている。

有限会社コアトレーディングでは、そういったユーザーニーズを踏まえ、顧客から少量販売を求められるようになったという。

設立から20年以上スワッグやリースなどの素材となるプリザーブドフラワーやドライフラワーなどをメインに販売してきた同社だが、その声に応え今回は素材でなくそのまま室内に飾って楽しめる新商品を発表した。

穴の空いた木製キューブを壁に接着し、セットのドライフラワーを差すというシンプルな商品。

花を壁面装飾できるアイテムは、まだまだ少ないことに気づき本商品の開発に至った。

こだわりのポイントは接着面。マグネットではなく、ジェル状のシールを使用しており、賃貸などの壁面にも安心して使用できる。

壁を傷つけることなく設置が可能
花を傷つけないパッケージも好評

この1年で多くの企業が在宅ワークを試み、オンライン会議を導入することとなった。

これまで人に見せることのなかった自宅でのライフスタイルがモニター越しに見えてしまうため、壁の装飾アイテム需要は高まっている。

2021年2月から販売を始めた本商品はすでに好評で、美容室やカフェなど、ライフスタイルショップだけではない店舗からの問い合わせ・取り扱いもあるという。

花のホームユースと壁面装飾という二つのニーズの掛け合わせには今後も期待ができそうだ。

デザイン性と手軽さをプラスする周辺アイテム

インテリアグリーンの人気に伴って、植木鉢やプランター、スコップやジョウロなどの関連商品の売上も伸びている。

株式会社バージが展開する「FARM (ファーム) 」と「BROWN (ブラウン) 」もその追い風を受けるブランドのうちのひとつだ。

数ある商品の中でも人気が高いのはハンギングアイテム。また、合わせてイミテーショングリーンの売上も伸びているようだ。

生の観葉植物を育てることに愛着を持つユーザーがいる一方、枯らす心配がなく、手入れや虫が苦手なユーザーは、あえてフェイクを選び、あくまでインテリアとして楽しんでいる。

また、日々ケアするには大変な場所にはイミテーショングリーンを置くなど、置き場所によって使い分けするユーザーもいるようだ。

手入れが大変な場所にはフェイクがおすすめ
鉢も手入れのしやすい受皿付きが人気

一方、株式会社ヤマテーが展開する「KONTON (コントン) 」は大型の植木鉢やアウトドア家具を扱うブランドで、主な取引先は商業施設や造園会社など。

今回のコロナショックで施設の閉業、テナントの撤退が多く見受けられ打撃があるように思えたが、予想に反し売上は好調とのこと。

コロナ禍でニーズが急上しているシェアオフィスやマンションなどの住宅需要もあってか、総じてグリーン周辺アイテムの売上動向は良さそうだ。

根強い人気、ガーデニングの新開路

花や緑を室内に持ち込む流れが広がりを見せる一方で、自宅の庭で楽しめる園芸・ガーデニングは昔から趣味として嗜まれている。

ガーデニング人口は一時期の盛り上がりからは落ち着き、主力ユーザーは持ち家のあるミレニアル世代以上。

この巣篭もり需要で単身世帯を取り込みたいところだ。

実際に、コロナ禍の傾向として、賃貸のバルコニーや花台などに緑を置いて楽しんだり、料理が好きな人がハーブを育てたりとその兆しは現れている。

加えて、「アウトドアリビング」という概念が世の中に浸透しはじめたことから、自宅の庭先やテラス、バルコニーを彩る草花たちの需要は今後も高まるだろう。

root pouch (ルーツポーチ)
環境にも配慮したサステナブルな植木鉢

そんなガーデニングアイテムの中で注目したのはウォルナット・アンド・カンパニーが展開している「root pouch (ルーツポーチ) 」。

リサイクルペットボトルとリサイクル天然素材から成る植物鉢。植物を育てるうえで重要な通気性と排水性の良さが特徴だ。

不織布製なので軽量で不要な時はたたんでしまえる点も嬉しい。

デザインだけでなく機能も踏まえて、こうした“他にはない”オリジナルなアイテムが新たな顧客とアフターコロナに残るコアなファンを創造するのかもしれない。

グリーンへの理解力と提案力

モノの需要が拡大すると供給が比例する。

供給されるモノの中には、これまでなかった新たなアイテムや楽しみ方が提案され、トレンドをつくっていく。

コロナショックをきっかけに、グリーン業界もまた新たな時代を切り開こうとしている。

アイテムが増え、ライフスタイルが変わり、花と緑の楽しみ方はさらに細分化されるだろう。

「自分に合う楽しみ方を見つけることができる種類の豊富さ」は、初心者参入のハードルを下げ、新規顧客の創造へとつながる。

グリーンとライフスタイルの関係性は切っても切れないところまでやってきた。

この細分されていくグリーンの楽しみ方を認識理解する力、そして新たな楽しみ方を提案する力、それらを持つ企業やショップが今後の市場に影響を与えていくであろう。

掲載ブランド紹介

有限会社コアトレーディング

フラワーアレンジメントに使用する花材全般を取り扱う卸売専門メーカー。バリエーション豊かな品揃えと高品質な自然素材を取り扱う。

取り扱いアイテム:プリザーブドフラワー、ドライフラワー

公式ホームページはこちら
https://www.coretrading.co.jp/index.html


FARM (ファーム) / BROWN (ブラウン)

株式会社バージが展開するブランド。「FARM」では、フラワーポットや花器を中心にグリーン周辺雑貨を、「BROWN」では多肉やサボテン、ハンギンググリーンなどのフェイクグリーンを取り扱う。

取り扱いアイテム:植木鉢、花器、フェイクグリーン

公式ホームページはこちら
http://www.farm.jp.net/index.html


KONTON (コントン)

株式会社ヤマテーが陶器産地・常滑で培ったノウハウを活かし、オリジナルデザインの植木鉢・プランターを展開するブランド。

取り扱いアイテム:大型プランター、アウトドアリビング

公式ホームページはこちら
http://www.yamatei.biz/


ウォルナット・アンド・カンパニー

不織布の植木鉢「Root Pouch (ルーツポーチ) 」や「Heritage Leather (ヘリテージレザー)」など海外ブランドの輸入販売や、ガーデニングを愛する人々のためのオリジナルファニチャーブランド「DAGLAS FURNITURE (ダグラスファニチャー)」を展開する企業。

取り扱いアイテム:布製の植木鉢、レザーケース、ワークファニチャー

公式ホームページはこちら
http://www.walnutco.jp/index.html

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