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緊急事態宣言下での開催

「EXHIBITION 2021SS」でも伝えていたように、今年に入り春の展示会が開催されはじめた。

新型コロナウィルス感染症 (COVID-19)<以下:コロナ>の猛威は止まらず、緊急事態宣言の延長が発表され、中止や延期を余儀なくした展示会も現れている。

また、開催の有無に関わらず、出展や来場を予定している関係者にとって、この状況下での行動は悩ましいところだろう。

そんな中、開催に至ったのは「第91回東京インターナショナル・ギフト・ショー春2021」と「EXTRA PREVIEW #22」。

取材班は同時期に開催されたこの2つの会場を訪れ、緊急事態宣言下での両展示会の様子を伺うことにした。

第91回東京インターナショナル・ギフト・ショー春2021
開催期間:2021年2月3日 (水) ~2月5日 (金)
会場:東京ビッグサイト西・南展示棟
https://www.giftshow.co.jp/tigs/
EXTRA PREVIEW #22
開催期間:2021年2月3日 (水) ~2月5日 (金)
会場:TOLOT
https://www.extrapreview.com/preview/ 

「東京インターナショナル・ギフト・ショー」

日本最大を謳う見本市が中止することなく開催したことは、業界各所へ安心を与えたに違いない。

例年と比較すると、来客数および出展数は明らかに減少したと言わざるを得ない。

出展者の各ブースでは、コロナ禍を象徴するアプローチが散見できた。

「除菌・抗菌」「おうち時間」「リモートワーク」ジャンルを問わず様々なプロダクトにこう言った言葉が飾られ、商談が行われているようだ。

今回の展示会テーマ「アクティブライフとリラクセーションギフトの提案」や、同時開催の「第9回LIFE×DESIGN」のテーマ「働き方改革・テレワーク・ニューオフィス・リノベーション」からも“ウィズコロナ”への意識が窺えるように、コロナショックから約1年経った今、コロナと共存するという課題に対する各社の答えが、今回の展示会を皮切りに出始めているのであろう。

「EXTRA PREVIEW」

他方、EXTRA PREVIEW は2020年秋の開催中止を経て1年ぶりの開催となった。

開催を待ちわびる来場者の声は大きく、開場前から列を成す状態に来場者の意気込みを感じる。

1年ぶりに集結することとなった出展者は、それぞれの顔ぶれを前にモチベーションを取り戻しているようだ。

来場者への接客だけでなく、互いの近況報告や情報交換など出展者同士のコミュニケーションが盛んな点は本展示会ならではの光景である。

この1年、コロナショックの影響で世に出ることなく眠っていたプロダクトたちを披露する機会が訪れ、つくり手側はモノづくりの楽しさを、展示会の重要性と合わせて改めて認識することができたのではないか。

それでも参加をする理由

緊急事態宣言下の開催で、地方からの来場こそ中々見られなかったものの、確度の高い来場者が多かったと聞く。

「この状況下でも訪れる」という点で、来場者一人ひとりが“本気”でいいものを探しにきているようだ。

滞在時間の長さやコミュニケーションの深度についてはポジティブな声を耳にするため、来場者・出展者互いに丁寧な関係が築けているように思える。

また、それぞれの感染症対策への徹底ぶりは規模感相応の対応だったと言える。

ギフトショーでは、検温・消毒だけでなく、マスクやシールドの配布、感染症通知アプリの導入や密を避けた動線の確保など、自身で自分を守るための用意が整えられていた。

EXTRA PREVIEW では、配布物を一切撤廃し、可能な限りオンラインでのアナウンス・管理を徹底していた。

双方に入場者数の管理調整を行い、両者、来場者が不安を抱くような点はなかったように思う。

以降開催が予定されている合同展示会についても、今回紹介した2つの展示場の様子はコロナ禍での展示会のあり方として参考になったのではないか。

オンライン化が進む中、リアルで見聞きすること・体験することの価値は今だ健在していて、モノを見るだけではない価値も確かに存在する。

士気や時流を感じ、自身の商いのモチベーションを高めること。予期せぬ出会いがあること。インプットの幅を広げること。

合同展示会主催者は、つくり手側へこうした場を提供することの使命感を持って、「開催するにはどうすべきか」と、これからの展示会のあり方、向かうべき方向を前向きに考え業界を牽引してもらいたい。

MMD TIMESでは本期間中、出展企業に取材を行った。緊急事態宣言下での出展を決めた企業の決意、モノづくりへの想い、そして業界の動向を随時紹介していく。

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