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バイヤーが注目する展示会 – 2020 春 東京

以前「EXHIBITION 2019AW」で、9月には新商品発表会、受注会、見本市といったBtoB向けの展示会が各所で開催されることを紹介した。これらの展示会は、同様に毎年2月にも開催されている。

特に東京で開催される合同展示会は、常に業界関係者の注目を集めており、新商品やこれからのトレンドを求めて、全国から多くのバイヤーたちが会場を訪れている。

今回も、2月の二週目に東京で開催される合同展示会のうち、MMD TIMESが注目するアパレル・インテリアの展示会を紹介していきたい。

日本最大のパーソナルギフトと生活雑貨の国際見本市「東京インターナショナル・ギフト・ショー

第89回東京インターナショナル・ギフト・ショー春2020
開催期間:2020年2月5日(水)~2月7日(金)
会場:東京ビッグサイト全館/青海・西・南展示棟
https://www.giftshow.co.jp/tigs/89tigs/

〔 東京インターナショナル・ギフト・ショー 〕は日本最大のパーソナルギフトと生活雑貨の国際見本市だ。今回のテーマは「心地よい暮らしの提案 PARTII」、出展企業は全体で約3,000社(同時開催展含む)となっている。

多様化する生活スタイルに対応する新製品を主体に、豊富で多彩かつ、ユニークな品揃えは、市場と流通をリードする最も実質的なトレードショーと言えるだろう。特に今回は、東京オリンピック・パラリンピックが近づき、日本の物作りや製品、ブランドが世界中から注目される中、平和な日本だからこそ生まれてくるアイデアや自由な発想、デザイン、そして新製品が集まることが予想される。

前衛的で、優れた感性のデザインが競って出展する東京ギフト・ショーのコアゾーン「LIFE×DESIGN」にも、前回に引き続き注目したい。「ACTIVE DESIGN, ACTIVE LIFE PARTⅡ」をテーマに、『インダストリアル&クラフトデザイン』『次世代クリエイター』『日本のモノづくり』『リノベーション&ライフスタイル』『サスティナブル』の5つの切り口で構成。新しい潮流として生まれた、地球の環境に配慮したエシカルや、サスティナブル、SDGs、ダイバーシティーなど人と地球にやさしい考え方からも、多彩でハイレベルなデザインを提案する。商材を探すだけではなく、これからの「売場・売り方」のヒントを探せる展示会である。

通算50万人を動員したクリエイティブの祭典 「rooms」

rooms 40 
開催期間:2020年2月20日(木)~2月22日(土)
会場:国立代々木競技場第一体育館
https://www.roomsroom.com/

〔 rooms 〕はクリエイティブシーンの活性化を目的に2000年にスタートし、ファッション、ライフスタイル、アート・パフォーマンス・飲食など、あらゆるジャンルから過去19年間でのべ1万組以上のクリエイターが参加してきた日本最大級のキュレーションイベントだ。

40回目となる今回のテーマは、「感じるトレードショー」。国内外から約500ブランドが参加し、従来のroomsを超えた、五感をフルに活用しながら楽しめるような体験型企画が多数用意される。

多彩なゲストが集まるトークショーを中心にワークショップなどの参加型イベントが毎日開催されるrooms ACADEMY(ルームス・アカデミー)や、現代にあふれている社会問題を、クリエイティブの力によって、違った目線で向き合うSOCIAL × ROOMSなどの新しい企画も必見だ。

また、若手デザイナーの登竜門としても知られるroomsは、まだ世に出ていない才能に直接出会える場でもある。20周年という節目に、新しくなった代々木第一体育館で進化・拡大して開催されるroomsに、これまで以上にクリエイティブな感性を刺激されることは間違いないだろう。

MONTAGE 23rd」の新たなテーマは「material(マテリアル)」

合同展示会:MONTAGE 23rd
開催期間:2020年2月5日(水)~2月7日(金)
会場:TOC有明WEST GOLD20
https://montage-express.jp

〔 合同展示会:MONTAGE 〕は、セレクトショップをターゲットにしている合同展示会だ。ライフスタイルの多種多様な要素を整え、次のトレンドの創造と発信を行うことをコンセプトに開催されている。

出展にはオーディション制を取り入れ、インテリア、グリーン、アウトドアとカテゴリーの垣根を超えて構成される会場は、全体の世界観が統一され、ただ商品を並べただけではなく、来場者が売場作りの参考にしたいと思うような、魅力的なインスタレーションを演出している。

また、展示商品の仕入だけに限らず、イベントやディスプレイに関する相談や、売場のディレクション等、様々な案件に対しての商談も可能。出展者と来場者の双方にとって、未来の指標となる出会いが期待できる展示会と言える。

2020年の〔 MONTAGE 〕のテーマは「material(マテリアル)」。素材や原料、データや道具、人など、日々進化・成長をしていくそれらを「MATERIAL」として大きな価値観で捉え、出逢いやモノづくりなどにおいて新しい取り組みを繋げるための「ツール」とすることで、変化と淘汰を繰り返す現代に普遍的な価値とそこに生まれる新たな魅力を提案する。

会場を新たに、20回目を迎える「EXTRA PREVIEW #20」

EXTRA PREVIEW #20 @TOLOT
開催期間:2020年2月5日(水)~2月7日(金)
会場:TOLOT
https://www.extrapreview.com/preview/ 

6つの企業が合同で主催する〔合同展示会:EXTRA PREVIEW 〕は、まるでセッションのような感覚で市場に新しい価値観を提供し続ける、まったく新しい展示会を目指している。 開催20回目を迎える今回は、これまでのTABLOIDから会場を移転し、元々工場だった建物の内部を改装した東雲の「TOLOT」にて開催される。

大規模見本市では実現できない、質の高い展示会を目指し、出展社同士が意見やアイデアをぶつけ合い、試行錯誤を繰り返しながら規模を拡大してきたというEXTRA PREVIEW。志さえあれば、規模の大小やジャンルに捉われず、デザインや質、作り手の想いなどから出展社を選定し、平等に発表できる場であることが、この展示会の注目すべき点であり、商品・展示方法は独自性・創造性にあふれている。

前回開催時のインタビュー記事「EXTRAPREVIEW #19 – 合同展示会へ注がれる主催者たちの熱意#02 -」も是非参考にして貰いたい。互いの魅力が混じり合い、規模の大小・作り手と売り手といった垣根を越えることで、市場に新しい価値観を提供するという考え方は、これからの「売場・売り方」が、多様化する価値観にどう向き合っていくかということにも通じていくだろう。

話せる、買える「ててて商談会

ててて商談会 TE TE TE Tranders Expo 2020
開催期間:2020年2月5日(水)~2月7日(金)
会場:スパイラルホール
https://tetete-show.jp/

〔 ててて商談会 〕は「つなぐ・つむく」という関係性の構築を目指すものづくり『Linkage Product〈リンケージプロダクト〉』の「作り手」達が集い、小売店・飲食店・メディア・スタイリスト等「伝え手」に紹介する商品展示会だ。

毎年2月に開催されていた「ててて見本市」を、「作り手」と「伝え手」のそれぞれの想いに、お互いがもっと耳を傾け合える会を目指し『ててて商談会』へと、9回目を迎える今回から名称が改められた。

200組を越える応募から選考した85組の作り手たちと共に開催される「ててて商談会」では、「作り手」の商品を実際に見ることはもちろん、作り手と来場者の視点や思いの交換が積極的にでき、販売可能な出展者ブースでは、商品や試作品、試供品の販売等を行い、買える展示会となっている。

アタラシイものづくりと出会う「合同展示会 大日本市」

合同展示会 大日本市 2020年2月
開催期間:2020年2月5日(水)~2月7日(金)
会場: B&C HALL 
www.dainipponichi.jp

〔 大日本市 〕は日本各地の工芸メーカーによる合同展示会だ。”出でよ未来の一番星。作り手たちの登竜門。” をコンセプトに掲げ、見本市ではなくその場で注文できる”商談会”として開催されている。

“アタラシイものづくりと出会う3日間”をテーマに、素材を生かして新たなジャンルに挑戦するつくり手や、伝統をつなぐために工場を譲り受けた若者たちなど、新たにブランドを立ち上げたつくり手が今回も多数集う。

前回からの試みとして催されているトークイベントにもぜひ注目したい。今回は、「アタラシイ みせづくり」をテーマに、蔵前にある「書く」ための商品だけを集めた「カキモリ」の代表、広瀬氏による「物語のある店づくり」や、雑誌「天然生活」の編集長を務める八幡氏の丁寧な暮らしの伝え方など、ブランディングや顧客へのアプローチ方法の参考にもなるのではないだろうか。

2020年の景気動向を見据え、何を選び、どう展開していくのか。

さまざまな展示会は、新商品の発表の場であることはもちろんだが、これからの店づくり・売場づくりに活かす情報を得られる場所でもある。新たな商材を見つけるだけでなく、自店で取り扱っている既存のアイテムとのディスプレイ方法や提案、顧客へのアプローチポイントなど、自店の強みになるようなアイデアを発見することも展示会へ出向く大きなメリットではないだろうか。

年始に紹介した記事「2020年セレクトショップを取り巻く業界の動向は?」でも言及した通り、2020年の景気動向は厳しくなるのではないかという懸念を持っているセレクトショップが多いだろう。

消費者のモノへの関心や所有の方法が時代とともに変化し、これまでのように新しい商品や話題の商品を仕入れて店に並べるだけでは売れるとは限らない。

様々な業界で「モノ売りからコト売り」へと言われているように、モノだけではなく情報や体験など、カタチのないモノを重要だと考える消費者も増えている。

そのような消費者の変化に対応していくためには、何を選び、どう展開していくことが必要なのか。MMD TIMESでは、異業種との関わりで得られるであろう新たな可能性というものに注視している。

今回紹介したそれぞれの展示会は、出展ブランドやジャンルも展示会によって異なり、またテーマや演出方法も多彩だ。複数の展示会を周り、新商品の仕入れだけでなく、自店になかったものを見つけ、より魅力的にブランディングしていくためのヒントを発見して貰いたい。

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